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湯上がり慕情 浴衣娘と中年ピンチ君
第1章 それぞれの思惑
 幸恵の両親らは軽く考えていたらしい。野上の留守を見はからって幸恵に頼めば、直ぐに金を出してくれた。

 由香は、どうして母方の家族から毎月電話が掛かってくるのか、分からなかった。
 高学年に近づいてもそれは続き、父の給料日が近づいてくると当たり前のように電話が掛かってきた。父が留守のときには、夜になると向こうの家族が現れる。ときには深夜に、母の弟が現れることは何度もあった。
 夜になると現れる向こうの家族を、由香は好きになれなかった。ときには騒がしく食事までしていく。母にどうしていつも来るの、と聞いても。用事だからと、いつも同じ答えしか返ってこなかった。
 由香は父のトラックに乗ったとき、後ろの寝台で目覚めたときでも、父は運転を続けていた。由香は父の背中を見るたびに、母から口止めされていた向こうの家族が浮かんだ。
(お父さんは寝ないで働いているのに──)

 由香が小学六年生のときだった。
 野上は前々から、由香が修学旅行を楽しみにしているのを自分のことのように知っていた。
 この日、野上はアパートに戻っていた。
 今日は旅行の通知が学校からあったらしく、由香は帰ってくるなりランドセルからそれを取り出して、満面に笑みを浮かべて嬉しそうに言った。
「ほら見てお父さん、修学旅行だよ!」
「良かったな由香、どこに行くのかな」
「あのね……」

 数日後の夜である。
 彼が日本海側を走っているとき、携帯電話が鳴った。野上の父親、定義からだ。
「英二か、いま電話は大丈夫か」
「9号線を走ってる。なに?」
「話しは英二が戻ってからだ、別に心配することじゃないんだ。で、いつ帰る?」
「九州にも行かなきゃなんねえ、四日後だな」
「じゃあ戻ったら電話しろ、安全運転でな」
 定義は英二に心配をかけまいと、何事も話さずに電話をきった。
 このとき由香は定義の隣りに座っていた。自転車で彼の家まで行ったのだ。
 定義は由香の泣き顔を見て、
「由香ちゃん、お父さんは来週には帰るって。それに、修学旅行は心配ないよ。お父さんが行かせてくれるから」
 由香は声を詰まらせた。
「……でもお爺ちゃん、お母さんはお金が無いって。修学旅行はだめって」
「絶対に大丈夫だから、それはお父さんが必ず行けるようにしてくれる。由香ちゃんは安心して待っていればいいんだからね」
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