この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
湯上がり慕情 浴衣娘と中年ピンチ君
第4章 夏の夜
 野上は世間話しのように、河合に話しはじめた。
「俺が小学の低学年のとき、習字の時間があったんだよ。河合ちゃんにもあった?」
 目を丸くして、野上は真面目な口調で言った。
 長年仕事を共にしていれば、野上の性格はそれなりに分かっている。これはなにかある、と河合は感じたらしい。
「ええ、習字はありました。なにか?」
「習字の時間にちょっといたずらをして、若い女先生から字を百文字書くように言われたんだよ。で、そのとき俺は、のという字を書きはじめたんだよ。丸に近いから簡単だからさ。友だちにも筆を借りて、左右に一本づつ持って、口にも一本咥えて書いていたら、先生からいやらしいから止めなさいって怒られたんだよ。河合ちゃんは、そんなことない?」
 野上が話し終えたとき、後ろの方で香織がクッと笑った。
 いつもなら話しに乗ってくる彼女が、この話しには入ってこない。おそらく意味は伝わったようである。
 一方、河合はピンときたらしいのだが、
「いや、自分はおとなしかったから、そんなことはないです」
 だが河合は含み笑いを見せている。いかがわしい行為は把握できたに違いない。
 河合は見た目からして真面目で、新婚間もない男だった。彼の妻は二十歳そこそこで可愛く見える。夜の主導権は妻に握られているようだ。
 野上は、これで河合のセックスライフはご奉仕一辺倒から逆の立場へと、少しは夜の関係が公平になるように思えた。新妻に尻をセクシーに回させることなどは、そのうち閃くだろう。香織と河合に教えることができて良かった。

 その頃、由香は花屋のエプロンを着けて、バイト先で忙しく働いていた。今夜は生け花教室の曜日なのである。
 作業場の長い台の上には、何本ものドウダンツツジが置かれていた。それを適度な長さに切り分けているのは、社長の息子の店長だ。台の向こうでは彼の奥方が、店員の女性と切り花を担当している。
 高校生のときから、この店でバイトをしている由香は手慣れていた。
 店長が切り分けた寸法の違う三本を、輪ゴムで止める。切り花も三本で止め、それぞれ、ダンボール箱に丁寧に詰めていく。
 店にお客さんが訪れれば、対応に出る。要望に合わせた花束を造ることもある。由香には楽しい仕事だった。

 箱バンに、花材とそれを運ぶ台車を積み込んだあと、店長は市民センターへと配達に出掛けて行った。
/152ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ