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Eternal
第2章 :Discomfort-違和感-
 この時に私はもっと強い違和感を抱かないといけなかったのかもしれない。しかしこの時にはもう、私の全てはこの環境に慣れ親しんでいて、根深いところまで疑問を抱くことがなかったのだ。いや、抱くどころか、この時期の私には勉学ばかりを押し付けられていて、そのようなことに違和感を抱く余裕さえなかったのだ。
 高校という教育施設に入ってもその苦しみは続いた。しかし、私は着実に高等教育を身に着けていた。
「あなた達は、首都の国立大学を受ける資格を得ました。首都大学に受かれば、あなた達は首都に入ることを許可されます。これも今までのあなた達の努力が生みだした結果です。ですから、これを励みに残りの年月を耐えて下さいね」
 この資格を得るまでに、私たちは苦しくて辛い勉学、そして1週間に1度に身体検査や脳波等の検査などを受けていた。こんなにも頻繁に色々な検査をしなければならないほど、首都に入る為の資格を得るのはかなり困難なのだろうか? 同じ島国内にあって、なぜか首都だけが異国のような雰囲気だと感じるのは私だけなのだろうか? 同じ人種が住まう場所なのに――
 私が抱いた三つ目の違和感だった――。

 かなりの違和感、疑問を抱きながらの厳しい学生生活の中でも多少の心躍るような体験は幾度かあった。『ヒト』は歳を重ねる毎に身体も精神も変化を遂げていくと、授業の中に含まれる「保健体育」で『ヒト』に関する内容の知識を得た。男女の身体や感情などの違いや特徴などだ。この時にその科の担任である教師が私たちに放った言葉を今でも鮮明に覚えている。
「皆さん、今のこの島国の体制をどう思いますか?」
 この言葉を聞いても私にはパッとした考えが浮かばなかった。それはきっと、現在の生活が当たり前だと思っていたからだろう。
「私は良いことだとは思っていません。海外からの交流を絶ち、この島国は今、見えない鎖であなた方を拘束して監視しています」
 そう言ってホワイトボードに「貧」と「暴」という文字を叩きつけるように書き殴った。
「確かに貧しいという言葉はこの島国から消えました。それはこの島国が「鎖国」を行ったことにより暮らしに必要な資源や物資、食料などの全てを賄わなければならなくなった。従って私たちには「職」が必ず与えられる環境を持つことができ、過去にあった「失業者」という言葉は死語となりました」
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