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Eternal
第2章 :Discomfort-違和感-
 教師はそこまで言葉を並べると、大きく息を吸い込んだ。そして何かを決意したようにゆっくりと一言ずつ丁寧な言葉を私たちの内耳に流し込んでくる。
「いいですか…… 私があなた達の目の前から姿を消した後、必ず疑問を持って下さい。どうして私がいなくなったのかを、そして消えた私がどうなったのかを……」
 その後、教師はこう言った後に話しを続けた。
「「貧」という言葉はなくなりましたが「暴」という言葉はなくなることはありませんでした。寧ろその言葉に関するこの島国の民の行動は酷くなるばかりです。それは飢えがなくなって暮らしも充実した中で生じる「欲」という感情が強くなりすぎたからです。毎日の安定した日常生活の中、目に見えない拘束を与えられた『ヒト』は必ず何か刺激を求めてしまうのです。これもまた『ヒト』しか持ち得ない悲しい感情です……」
 そこまで話し切った教師は小さく咳払いをした後に私たちに顔を向けて笑った。
 私はその笑みを忘れることができない。
「どうか皆さん、今の生活に満足せずに…… 必ず疑問を持ち続け、自由に生きようと努力しなさい。 『ヒト』はそうやって成長していくのです。この暮らしを受けるあなた方の代償は予想以上に酷なものなのです」
 どこか遠くを見つめている両の瞳。その中には悲しみと絶望の感情が酷く露わになっていた。
 私たちに謎を残したその教師がどうなったのか――
 ただ、翌日に私たちの目の前にその姿はなかったが、その教師は首都から地方へと向けられた者であり、他の教師たちにその者が首都へ戻ったと教えられた時、私たちは素直に納得をしていたのである。
 あの時から私たちは更に時間に縛られ続けた。
 まるで何も考えさせないかのように――

「見て見て、あの子たち付き合い始めたんだってさ」
 クラスメイトに囁かれて、私がその子の指差す方向に視線を投じると、教室の窓際でクラスメイトの男女二人が楽しそうに笑いながら会話をしている姿があった。女生徒の左肩横で清潔な純白のカーテンが風を受けて靡いている。それを見た私はウエディングドレスを纏ったその女生徒の姿を想像した。『ヒト』同士が愛し合って将来を誓う儀式の時に花嫁が身に着ける衣装のことだ。それには頭を隠すベールがセットとなってあるのだそうだ。




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