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Eternal
第5章 :Reverie-夢想-
「ミスコンが行われる数日前から行方不明者が出てるって?」
 俺は気になることがあり、昨日彼女のマンションから直接研究所へと向かった。そこで調べたのが過去の行方不明者の『ヒト』の女の共通点だ。全くこういうことには俊敏に動けるというのに、彼女の前では本当に――。俺は昨日を思い出しながら口元を歪めた。
「ああ、ミスコンの時に浚われるんじゃない。そのコンテストのいつに女たちが行方不明になるのかを調べていたら、当日の数日前に浚われている」
「じゃあ、今が一番危険なんじゃないのか?」
 ミスコンの日に百人の警察官を動員して警備に当たると伝えられた俺は焦りを感じた。
「当日に警備を強化しても無駄なんだ。今からじゃないと……」
 俺の言葉を最後まで聞かずに、そいつはいきなり人差し指の腹を耳に当て、自分の相手に電話をかけ始めた。迂闊だった―― そこまで調べていなかった。俺のミスだと呟きながら。
「出ない……」
「出ない?」
 俺はそいつの言葉に首を傾げる。そいつの相手の女は恐らくだが、俺の勘だと攫われない確率の方が高かった。犯人の選ぶ『ヒト』の女の特徴は背高でほっそりとした体形で大人顔だ。それはこの事件が始まった時からブレていない。昨日そいつの相手の女を見たが、太くはないが少し肉付きが良く背はかなり低く幼顔であった。だから犯人の標的からは外れると考えていたのだが、犯人は宗旨替えでもしたのか? いやそんなことはない、ないはずだ。
「まだ朝早い。寝ているんじゃないか?」
「そうだといいが……」
 とにかく警備をするなら今からだと俺は伝えて警察機関から早々に立ち去った。なぜなら今日から彼女と共に暮らす為の住まいに引っ越しをする予定だからだ。昨日の雨が嘘のように、今日は快晴。冬らしくない暖かさが徹夜続きの眠気を濃くさせるが、今日だけはどうしても寝るわけにはいかない。それにまず部屋に戻ってシャワーを浴びてから彼女の所へ行かなければ。昨日は薬品など一切使用してはいないが、やはりあの研究室に籠っているとその独特な匂いが身体に染みついているように思えて仕方がなかった。
 昨日は雨だったのに彼女に会いに行かなければと思うと妙にそわそわした。しかし今日は快晴。彼女のマンションへ行くのに何ら問題はなく、昨日よりも気分はかなり高揚している。
 これから新しい生活が始まるのだ。
 『ヒト』への第一歩の――
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