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Eternal
第5章 :Reverie-夢想-

彼女のマンションのドアの前でインターフォンに向き合う。いつもなら普通に押すことができていた個所に人差し指が躊躇いを持つ。その手の指の一本にはまだ彼女が貼り換えてくれたバンドエイドが。あの日からとても気を付けてはいるのだが、やはり消耗品である。それは既に捩れを見せ始めていた。
まあ、彼女がまた気づいて貼り換えてくれるだろう――
なんて呑気なことを考えながら、躊躇いを見せていた人差し指をその箇所に押し付けようとした時、俺の顔にドアがヒットした。
「うおっ!」
油断をしていた為に避けることができなかった俺は頬に手を当てながらその場にしゃがみ込む。すると頭上から慌てた声音が降り落ちてきた。
「ああっ、すみません! 大丈夫ですかっ!?」
インターフォンも鳴らしていないのになぜ彼女は俺の来訪に気づいたのかと不思議に思ったが、どうやらそれでドアを開けたのではないらしい。彼女の姿はどこかへ出かけるような感じであった。
「何があった?」
口元からは即座にその問い掛けの言葉を吐き出していた。そして咄嗟の行動で彼女の腕を下から自分の手を伸ばして掴んでいる。彼女が慌てているのは声音と今の行動で理解できたが、雰囲気からして大したことであるものらしい。
「さっき友人から連絡があって、主催者が家のドアの前にいるって。こんな朝早くからおかしいって言っているんです。でも応対はしなくてはいけないから電話を切らないでいてくれって」
「マンションの個々の部屋には自動の録音機能がある」
「それは分かっています。でも、もしものことがあるかもしれないからって」
俺は彼女の人差し指を見た。その指先には数ミリの大きさのチップが埋め込まれている。過去と違って手のひらサイズの携帯電話を持つ時代ではない。年を重ねるごとに高性能で最小化されていく機器。それで最も進化しているのはチップ製の携帯電話かもしれない。言葉だけで連絡したい相手に繋がり、色々な情報を得たりすることができる。画面を出したければそれを望むと、自分の目の前に画質が良く、大きさも調整できるテレビ画面がフイッと現れるのだ。彼女の友人がその電話を切らないでくれと懇願したのには、恐らく部屋から連れ出されるかもしれないという不安があったからかもしれない。部屋のセキュリティは何かの時には自動で録音してはくれるが、それはその室内だけ。
まあ、彼女がまた気づいて貼り換えてくれるだろう――
なんて呑気なことを考えながら、躊躇いを見せていた人差し指をその箇所に押し付けようとした時、俺の顔にドアがヒットした。
「うおっ!」
油断をしていた為に避けることができなかった俺は頬に手を当てながらその場にしゃがみ込む。すると頭上から慌てた声音が降り落ちてきた。
「ああっ、すみません! 大丈夫ですかっ!?」
インターフォンも鳴らしていないのになぜ彼女は俺の来訪に気づいたのかと不思議に思ったが、どうやらそれでドアを開けたのではないらしい。彼女の姿はどこかへ出かけるような感じであった。
「何があった?」
口元からは即座にその問い掛けの言葉を吐き出していた。そして咄嗟の行動で彼女の腕を下から自分の手を伸ばして掴んでいる。彼女が慌てているのは声音と今の行動で理解できたが、雰囲気からして大したことであるものらしい。
「さっき友人から連絡があって、主催者が家のドアの前にいるって。こんな朝早くからおかしいって言っているんです。でも応対はしなくてはいけないから電話を切らないでいてくれって」
「マンションの個々の部屋には自動の録音機能がある」
「それは分かっています。でも、もしものことがあるかもしれないからって」
俺は彼女の人差し指を見た。その指先には数ミリの大きさのチップが埋め込まれている。過去と違って手のひらサイズの携帯電話を持つ時代ではない。年を重ねるごとに高性能で最小化されていく機器。それで最も進化しているのはチップ製の携帯電話かもしれない。言葉だけで連絡したい相手に繋がり、色々な情報を得たりすることができる。画面を出したければそれを望むと、自分の目の前に画質が良く、大きさも調整できるテレビ画面がフイッと現れるのだ。彼女の友人がその電話を切らないでくれと懇願したのには、恐らく部屋から連れ出されるかもしれないという不安があったからかもしれない。部屋のセキュリティは何かの時には自動で録音してはくれるが、それはその室内だけ。

