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Eternal
第5章 :Reverie-夢想-

「あ、あの、彼女はいたんですか? 無事なんですか?」
背後から押す俺の方に顔を向けてくるが、できるだけ後は見せたくなくてその顔を少し手荒に前を向かせる。さっきいた場所から玄関の外までたった少しの距離なのに、こんなに長く感じたのはこれが初めてだ。
外に出た瞬間俺は大きく息を吐き出した。あの部屋の匂いは研究所でもよく嗅いでいて慣れているが、さすがに今回の現場は研究所ではなくて事件のあった場所。それにかなり残酷な状態で彼女の友人は倒れていた。予想していた状況ではなかった為に吐きそうだ。俺の額からは知らない間に汗が噴き出ていた。そして彼女の友人のマンションから出た時にあいつがこちらへ向かって駆けて来ていた。
「おい! 何があった!?」
俺の目の前まで駆け寄って来たと同時にこの言葉を出すということは、この俺の顔色がかなり悪いと気付いたからだろう。こいつの目の前にいてどのような言葉を発したらいいのか分からず、俺は視線だけを泳がせる。その動きは自然と半開きのドアの方に向いていた。その動きに反応したそいつはすぐさまドアを更に開けて足を踏み込ませていく。その後をそいつが連れて来た警察官がついて行く。暫しの沈黙が流れたのだろう。俺の耳には何の音も聞こえなかった。しかしそれは本当に暫しの間だった。静かだと思っていた後に、あいつの叫び声が開け放たれたドア向こうから聞こえ、俺は咄嗟に傍に立っていて、そいつの叫び声を聞いた瞬間にマンションの中へ飛び込もうとした彼女を背後から抱き締めていた。
彼女は強いですよと医者は俺にそう伝えた。しかし彼女はこの状態で生きることを幸せだと思うのだろうかと俺は思った。
ミスコンが行われるホールで顔は見たが会うのはこれが初めてだ。何とも衝撃的な出会いだとも言えよう。いや、これは本当に稀な出会い方だ。俺は彼女が横たわるベッドの横で深い溜め息を吐き出した。
あの時に電話を掛けたが、このような危険な状況でなくてもきっと、彼女は俺からの電話を不振がっただろう。だって今までかけたこともないのだから、電話番号を見ても知らない番号だ。
「悪かったな…… これからのことは全てこちらが責任を取る」
いつの間に入って来たのか、俺の背後には上司の姿があった。
「ははっ…… 酷いですよ。俺、好みだったのに……」
笑いながら上司に応対する俺の掌に爪先が食い込んでいた。
背後から押す俺の方に顔を向けてくるが、できるだけ後は見せたくなくてその顔を少し手荒に前を向かせる。さっきいた場所から玄関の外までたった少しの距離なのに、こんなに長く感じたのはこれが初めてだ。
外に出た瞬間俺は大きく息を吐き出した。あの部屋の匂いは研究所でもよく嗅いでいて慣れているが、さすがに今回の現場は研究所ではなくて事件のあった場所。それにかなり残酷な状態で彼女の友人は倒れていた。予想していた状況ではなかった為に吐きそうだ。俺の額からは知らない間に汗が噴き出ていた。そして彼女の友人のマンションから出た時にあいつがこちらへ向かって駆けて来ていた。
「おい! 何があった!?」
俺の目の前まで駆け寄って来たと同時にこの言葉を出すということは、この俺の顔色がかなり悪いと気付いたからだろう。こいつの目の前にいてどのような言葉を発したらいいのか分からず、俺は視線だけを泳がせる。その動きは自然と半開きのドアの方に向いていた。その動きに反応したそいつはすぐさまドアを更に開けて足を踏み込ませていく。その後をそいつが連れて来た警察官がついて行く。暫しの沈黙が流れたのだろう。俺の耳には何の音も聞こえなかった。しかしそれは本当に暫しの間だった。静かだと思っていた後に、あいつの叫び声が開け放たれたドア向こうから聞こえ、俺は咄嗟に傍に立っていて、そいつの叫び声を聞いた瞬間にマンションの中へ飛び込もうとした彼女を背後から抱き締めていた。
彼女は強いですよと医者は俺にそう伝えた。しかし彼女はこの状態で生きることを幸せだと思うのだろうかと俺は思った。
ミスコンが行われるホールで顔は見たが会うのはこれが初めてだ。何とも衝撃的な出会いだとも言えよう。いや、これは本当に稀な出会い方だ。俺は彼女が横たわるベッドの横で深い溜め息を吐き出した。
あの時に電話を掛けたが、このような危険な状況でなくてもきっと、彼女は俺からの電話を不振がっただろう。だって今までかけたこともないのだから、電話番号を見ても知らない番号だ。
「悪かったな…… これからのことは全てこちらが責任を取る」
いつの間に入って来たのか、俺の背後には上司の姿があった。
「ははっ…… 酷いですよ。俺、好みだったのに……」
笑いながら上司に応対する俺の掌に爪先が食い込んでいた。

