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Eternal
第5章 :Reverie-夢想-
 幼い頃はここに感情があると思っていたのにね。
 そうね、ここにある心臓はハートの形をしているって思っていたわよね?
 私たちは笑いながらこんな会話をしていた。
 心理学の勉強をしていたのだ。あのような目に遭っていた時にはどれ程に怖い思いをしていただろう。しかし後から聞くと、彼女の顔は血には染まっていたものの涙の跡は全くなかったのだと言う。両手足を切り落とされたというのに、近所からの聞き取りでは悲鳴も何も聞こえなかったのだと言う。
 不安そうにしながらも強がって周りを安心させようとする。そして幼顔で背丈も低くて頼りなさそうな子どもみたいな雰囲気を持っているというのに、いざとなった時には内面から強さを見せる。
「まだ目覚めてはいないらしいが、心臓はしっかりと動いているらしい」
 彼の知り合いで彼女の相手である男性が、私が友人のことを心配しているだろうと連絡をしてくれたのだ。最初は私のマンションまで来てくれたらしいのだが、彼と私は既に新しい住まいに帰っていて、少しの時間、彼と知り合いの男性との電話の会話はちょっとした口喧嘩になっていた。
「両手足は中途半端に切り落とされていたらしいから、義手や義足をつけることができるかもしれないらしい。ただ目が覚めないことには何事も前に進まない」
 彼女は今、集中治療室に入っている。心臓が動いていても油断ができない状態だからだ。それに両手足を切断されてからその個所は長い時間空気にさらけ出されていたため、細菌感染しているかもしれないと医者が判断を下した。テレビのニュースでは首都大学の女学生、両手足を切断され意識不明の重体と伝えていた。それを私は新居で彼と並んでソファに腰をかけながら半ば放心状態で聞いていた。その中で思い出す。彼女の腕が切られる直前だったのだろう。
 残念だが君じゃないんだ。君の友人が彼女の為になる――
 だから囮になってもらうよ――
 主催者の男性の狙いは実はこの私だったと知ったら彼は顔の中にどのような色を見せるだろう?
 相談をしてみようか止めようかと悩んでいると、彼が私の顔をじっと見つめていることに気づいて、肩をびくりと動かした。
 何か見透かされているようなその視線に私がたじろぐ。
「何かあったのか?」
「え、どうしてですか?」
 彼の問いが私の心拍数の速度を上げさせる。 
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