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Eternal
第5章 :Reverie-夢想-
「もちろん、攫う対象となる確率は大だ。それにあんたの携帯電話の録音でも分かるようにあんたの身体が犯人の研究には持って来いなんだろ? ってことはあんたは集中的に狙われる」
「じゃあ……」
 私は友人があのような目に遭う前に考えていたことを思い出す。
 大学の祭りに彼を誘おうと思っていたのだ。私は両手を胸の前で組み彼の方に視線を向ける。この仕草は何かをお願いする時の女性にとっては可愛くおねだりする仕草みたいなものだ。しかし彼にそのような仕草がどのような意味を持つなんて知る由もない。怪訝な表情を浮かべて私に問いかけてきた。
「それは何だ?」
「お願いをする時のポーズです」
「はっ?」
「一緒に祭りに行きませんか?」
「えっ?」
「だから、大学の祭りに一緒に行きましょうって言っているんです」
「あんた、自分が標的になる確率が高いってさっき言われたよな?」
 彼が呆れたような表情を微かに浮かばせて問いかけてくる。私はそれに頷きながら答えた。
「だから一緒に行こうとお願いしているんです。私が一人で行動するよりも傍にいた方があなたも安心するんじゃないんですか?」
 この言い方はまた怒られるかなと一瞬だけ考えたが、友人のことを思うとどうでもいいやと何も気にならなくなる。
「お前が傍にいるんならいいんじゃないか? 離れないように手を繋いでさえいてくれれば大丈夫だろ」
「手を繫ぐ?」
「え、まさかまだ繫いだこともない?」
 彼の疑問形の言葉に彼の知り合いが驚きの表情を起こす。
 いやいや、ありますよ。ありますけれど、別に仲良く手を繫いだってわけではありません。なんて説明したら長くなりそうなのでここは却下。私は曖昧な笑みを浮かべながら、彼にもう一度おねだりをした。更に強いおねだりをするには接近戦もいいものだ。私は彼の方につつっと膝を進めた。
「お祭り、行きましょう」
 身体が触れ合いそうなほどに近寄っているというのに、彼は動揺も何もしていない。ただ困ったように溜め息を吐き出した後、視線を私から彼の知り合いに移していた。
「おい、当日はちゃんと護衛をしろよ」
 こうして同居一日目は甘ったるい雰囲気も殆どなく終了していた――。 


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