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Eternal
第6章 Reunion-再会-
 とても滑らかな高質な肌で一指一指なんて、少しでも力を入れたら折れてしまうのではないかと思われるほどに細く、爪も細長くてよく手入れされているのかツルツルとして光沢があった。そして俺の手よりも断然小振りだったと俺はその時の感触を思い出したと同時に、指にあのバンドエイドがないことに気がついた。
 確か喫煙室に行くまでには指に頼りなさげに巻き付いていたような気がするのだが、はてはてどこで落としてしまったか。しかしあの柄で色のバンドエイドをもう一度貼ってくれなんて自分からは到底言えるわけもなく、それにその指の怪我は既に完治しているから巻く必要もなく。しかしそれがないだけで何とも心もとない。俺は男の手から自分のそれを振り払うように離すと、暫くの間、その箇所をじっと見つめていた。


 今日は今年最後の日。大晦日だ。
 この晦日の由来は月の満ち欠けに関係しているらしく、晦は月が隠れることの意味を表すのだという。晦は三十(みそ)からきていて、晦日は三十日である。晦日は他にも大晦(おおつごもり)とも呼ばれる。晦とは”月が隠れる日”。旧暦は月の満ち欠けで暦が決められていて、新月を一日とすると、月が隠れる”晦”の頃がおおよそ三十日であったらしい。そこから三十日を晦日と呼ぶようになった。今では新暦に変わっている為、月の最後が全て三十日で終わることはないが、月の終わりは晦日と呼び、一年の最後の月の最後の日には大をつけて大晦日と呼ぶのだそうだ。
 このような説明を受けると、昔の人々がいかに自然と共に時を過ごしてきたのかが分かる。私たちの周りにあるような便利な道具や機器があるわけではない。今の私たちにとってはとても不便な時代だ。しかし全ての暮らしを自然の中で過ごしてきたその時代の人々は、もしかしたら私たちより幸せで自由だったのかもしれない。
「今日に食べるはずの年越しそばを昨日の夜に食べちゃったし……」
 私は何にもないキッチンで突っ立ったままで呟く。すると部屋の中のコンピュータシステムが言葉を放ってきた。
「ナニカコウニュウシマスカ?」
「そうね、年越しそば二人分と、明日の……」
 そこまで言った私は、自分の鞄の中にある財布を取り出した。
「購入はしないわ。出かけるから留守番お願いね」
 コートを羽織りながら玄関まで駆けて行く。
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