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Eternal
第6章 Reunion-再会-
 ただその『ヒト』は私に気づいていない。今の場所から早く立ち去りたいのだろう。周りを気にしながらロボットたちの中に隠れるようにして足早に歩いていく。
 その姿はいつしか雑踏に呑まれていってーー
「お父さん……」
 私の呟きもまた雑踏のざわめきに掻き消されていた――。


 溜め息を吐くと外に排出される白煙。彼女はこれであのロボットに違和感を覚えた。
 この白煙は身体の中に熱を持っている証拠。『ヒト』もよほど慌てていたのだろうか? いや、彼らにはここまでの小細工をする必要がなかったのかもしれない。
 ちょっと馬鹿にしていないか? 『ヒト』を…… この島国の権力あるものたちは彼女が抱いたような違和感に『ヒト』が気づくわけがないと考えていたのだろうか? 自分たちも同じ『ヒト』だというのに。まあ、『ヒト』に全てそっくりに作り上げたら見分けるのに困難な時もある。彼女だってあれがロボットだと気付くのに一年近くかかったのだから。
「ああ、眠い……」
 昨夜も遅くまで彼女とあいつと一月三日のことについて話し合っていたせいか、俺の頭の中に靄がかかっている。そして初めての同棲生活の夜がリビングで三人そろって雑魚寝だとは全くの予想外だった。気づいたら朝。あいつは出勤時間に間に合わないと顔だけ洗ってから慌てて飛び出して行ったし、彼女はすぐ傍でドタバタしている音にも無反応で深い眠りを続けていた。あいつが出て行ってからの俺は何をすればいいのかも分からず、眠っている彼女をそのままにして自分の研究室へと足を運ばせていた。そしてあの夜の事件の時の男と喫煙室を会話をした後、ふと彼女のことが気になって研究所を出た。その前に男との別れ際だった。
「家に帰ったら彼女に一緒に出掛けないかとか言って外に連れ出すんだ。そしてどさくさに紛れて手を握ったらいい」
 なんて言葉を吐き捨てていった。『ヒト』と長く関わっていると感情だけではなくてちょっとした悪知恵も働くようになるらしい。しかし彼女のことが気になっていた時に急に言われたものだから、こちらも一瞬だけそうしてみようかなんて考えてしまった。しかし手を繫ぐ時のタイミングや、その男が言う”どさくさに紛れて”とは一体どのような混乱を利用したらいいのか、どのような隙をついてすればいいのかも分からない。
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