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Eternal
第6章 Reunion-再会-
まあ、それはその時にならないと起こらないわけだから、今ここで悩んでも仕方のないことだ。
 手を繫ぐ繫がないに関わらず、外に連れ出すのもいいか―― なんて考えていたが、ふと思い出したことがあった。年越しそばのパッケージがついた容器を二つ、俺の前に差し出してきて、それを引っ越しそばだと言った彼女。昨夜食べたそばは、本当ならば今日の夜に食べる予定だった食料品だ。
 いったん家に帰って彼女を誘ってそれを買いに行くより、今ここから店に立ち寄った方がとても効率がいい。今の俺の考えをあの男が聞いたら、きっとまた苦笑いをするのだろうなと自分もまた苦い笑みを浮かべながらも、やはり自分にとっての利便を優先させてしまった。
「買って帰るか……」
 俺はそう呟くと、その年越しそばなるものを買う為に寄り道をすることにした。
 大晦日ともあって首都内は混雑を見せている。少しでもよそ見をしていては前を歩いて来るロボットの肩とぶつかりそうになるくらいで自分の周りに余裕がない。『ヒト』のように装っているが、俺が見る限りほとんどがロボットである。その中には数えるくらいの『ヒト』がいて、そのものたちがカメラを回して大晦日の中継をしていた。
「今年もあと残り僅か。その時間を共に楽しもうとしているかのようなこの賑わい。今夜は○○神宮で盛大にそして厳かに除夜の鐘が鳴らされます。今日だけは夜更かしも許されるのでしょうか? インタビューに応じてくれた小さな子どもが両親に連れられて○○神宮に行って除夜の鐘を鳴らすと楽しそうに話してくれていました。子どもの母親は来年も何事もなく健康に暮らせるよう願っておりますと我が子を愛しそうに見つめていました」
 いくら子どもの姿をしているとはいえロボットに夜更かしも何もないだろう。それらは疲れるやら眠いやらを感じないのだから。しかし首都の様子の映像は地方にも流される。
 まさか首都内がロボットだらけだとは地方に暮らす誰もが想像もしないだろう。この中にいる『ヒト』の数は俺の両手の指十本で充分に足りるかもしれない。俺はその場に立ち止り鼻をクンッと動かした。
 懐かしい香りがする。それと嗅ぎ慣れている匂いも混じって…… まさかと思って周りを見渡す。一周ぐるりと身体を回転させる。その動きによって身体同士がぶつかろうと文句の言う奴はいない。
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