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Eternal
第6章 Reunion-再会-
 誰も挿入してくれなんて言わない。が、男はまるで自分の象徴が求められているような言い方をする。
「狂ってる……」
 静かな部屋の中で分娩台の上から床に滴り落ちる血の音しか聞こえない中で、まだ生き残っている研究対象物が呟いた。それを聞いた男は分娩台の傍で立ち上がると背筋を伸ばしながら、その呟きが聞こえた方へ人差し指を鋭く突き刺した。
「次は、お前だよ…… どうやら激しくされたいみたいだね……」
 男は分娩台の上の役に立たなくなった研究対象物を片手ではらい落とすと、恐怖で既に瞳孔が開き切っているそれの腕を掴み上げて、まだ乾ききっていない血の海の上へと放り投げるように寝かせた――。



「おい、ここで何をぼんやりと立っているんだ?」
 いきなり肩を叩かれた私が背後を振り返ると、彼がそこにいた。
「えっと、あの、友人のお見舞いと昨夜食べてしまった年越しそばを買いに行こうと思って……」
 これは事実だ。ただ予想外のことが起こってしまってこんな場所で突っ立っていたが、彼は何やら意味ありげな表情を浮かべると、友人のお見舞いはまだ無理であることを伝えてきた。
 友人はまだ集中治療室に入っている為、関係者以外とは面会できないのだと言う。友人の相手の男性は一応、関係者ということで毎日友人のもとへ通っているらしいのだが、どうやら私はそれから外れるらしい。 本当は友人の顔を一目でも見たかったが、行っても会えないのならば行っても仕方がない。心配ではあるが、友人は安全な場所にいるからそれだけでも良しとしよう。それにもう日も暮れかけている。私が家を出たのが夕方近い時間だったから、今頃病院へ行っても門前払いされて無駄足になるだろう。
「あの、仕事はもう終わったんですか?」
「もともと今日は何もなかった」
「あ、そうなんですか」
 じゃあ、一体何をしに外へ――? そう尋ねたかったが彼のプライバシーに関わることに深く首を突っ込んではいけないのかもしれないと考えた私は、それをするのを止めた。
「年越しそばを買いに行くんだろう?」
「はい、でも昨夜に続けてそばはどうでしょう?」
 もしかすると彼はもっと別のものを食べたいのかもしれないと、私は彼に何が食べたいのかと問うような言葉を放つと、
「俺も今、それを買って帰ろうと思ってここに来たんだ」
 と、何ともまあ、嬉しいことを言ってくれるではないか。

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