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Eternal
第6章 Reunion-再会-
 何か少しだけだけれど、彼との距離が縮まったような気がした私の心の中は冬なのにポカポカとした春のような陽気を感じていた――。



 あれ、私は生きているの?
 瞼の奥に光を感じる。これは自然のものではなくて人工のものだ。あの男に襲われた私の部屋は分厚い遮光カーテンが閉められていて、微かな光しか感じ取れなかった。が、今は目を閉じていても眩しいくらいだ。
 ゆっくりと目覚めてみると、がらんとした部屋に設置してあるベッドに私は横たわっていた。頭を動かしてみれば、天井も壁も全て真っ白。とても清潔な部屋にいた。ただ普通の部屋ではない。私のすぐ傍にはたくさんの医療機器が置かれていた。口元も何となく窮屈なものがあるなと思ったらフェイスマスクをつけられていた。恐らくそうでもしないといけない状態だったのだろう。が、今はそれがなくても何となく大丈夫と思った私はそれを取ろうと手を上げようとしたが、この時に溜め息を吐き出した。
 そうだ、私もう手がないんだった……
 まだ手があるような感触があるように思えるのも仕方がない。爪先に痛みがあるような症状。幻肢痛だ。電流を流されたような激しい痛みに私は唇を強く噛んだ。両手足を切断された時よりも今の方が辛い。痛みの酷さを物語るように、額から大粒の汗が浮き出た。
 『ヒト』の身体は一部分でも失くしてしまうと違和感を感じたりバランスを保てなくなったりするのを今、私は知った。身体を左右に動かしたくてもそれができない。それでもまだ脳内にある体の各部位に対応するマップが、その部位を失ったにもかかわらず更新されないことが影響しているせいか、身体は私が思う方向へと動こうとしているのだが、それができないのが現実。別名を”ファントム・ペイン”とも呼ばれている”幻の痛み”だ。実際はない部位の痛みを感じる症状。目覚めた今、私はその症状に苦しめられていた。その動きに少し呻きも出たのだろう。傍で居眠りをしていたらしい男性が目覚めて私に声をかけてきた。
「おい、目覚めたのか……?」
 見たこともない顔だ。しかしあちら側はどうやら私を知っているらしい。ただ危険な人物ではないことは何となく理解できた。それはこの部屋の中を漂う空気で感じたのだ。だから私も素直に尋ねた。
「あなたは誰……?」
 私のその言葉に男性は安堵したような表情からいきなり緊張を露わにした動きを見せた。



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