この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Eternal
第6章 Reunion-再会-
 そしてこの日の夜。私にとってとても喜ばしいニュースが彼の電話から伝えられた。私の友人が意識を戻したのだと言う。手足がなくなってしまってどのような気持ちでいるのだろうかと思いきや、自分の相手と出会えて喜んでいると言う。その相手である男性もまた、彼女が意識を戻したことに喜び、電話の向こう側では興奮した声がこちら側までよく聞こえてきていた。ただ、幻肢痛があって少し辛いのだそうだ。幻の痛みは鎮痛剤や麻酔では効かない。ミラーセラピーという治療法があるらしいのだが、それも個人差があるのだという。
 友人は相手の男性の電話から私と会話をした。少しの時間だったけれども、両手足がないのを面白おかしく話す友人に改めて強さを感じた。本当は辛いはずなのに、周りに心配させまいとする。私が泣けてきそうになるのに、終始笑わせるものだから、込み上げそうになっていた涙はいつの間にか引っ込んでしまっていた。そんな友人にはcarnivalに行くことは伝えていない。伝えたら決まっている。友人は行くなと言うだろう。両手足がなくなったのはあんたのせいじゃないわ、って言われるに決まっているから。
 彼が電話を切ると、私の方を見てギョッとした表情を見せる。これはまた新しい発見だと喜ぶ私は、どうやら笑いながら泣いていたみたいだ。
「笑っているのに泣いてる……」
 彼にとってこれは新発見だったよう。私は人差し指で涙を拭いながら、これは嬉しくて泣いているのだと説明をすると、彼は理解できない。嬉しいなら泣く必要があるのか? と頭を抱える。
「涙って、悲しいときは勿論ですけど、嬉しいときも辛いときも腹が立つときも出るんです。つまり、感情がピークに達してしまった時に出やすくなるみたいです」
 彼は私の説明にまだ理解を示してくれなかったけれども、もう習慣づいてしまったのか、私の頬を伝う涙を指で拭ってくれる。そこで思い出した私は、鞄を手繰り寄せて中に手を突っ込み、ピンク色でハートの柄のバンドエイドを取り出すと、涙を拭ってくれたその指を優しく掴んでそれを貼った。指に絡みついたバンドエイドを何となく感じる嬉しさの表情で見つめている彼。私の手はバンドエイドを貼った後も彼の手に触れていた。握手ではないけれども、手を繫いでいるわけでもないけれども、触れたその個所からの熱が心地好くて手が離れようとはしなかった。
/172ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ