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Eternal
第6章 Reunion-再会-

「あ、初日の出です」
「初日の出?」
「一月一日(元日)の日の出のことです。この島国ではずっと昔から一年に一度の最初の夜明けでおめでたいとされてきたんだそうですよ」
彼女が立ち上がる。この時に繋いでいた手は解かれると思ったが違った。彼女は繋いだ手をそのままに俺もその場に立ち上がらせる。そして窓の傍まで引っ張って行き、俺はされるがままにされていた。
「綺麗ですね……」
ビルとビルの間をゆっくりと太陽が昇っていく。冬の寒空の中で暖かみを感じさせるこの日の出を、俺は意識して見たことがない。今日初めて、ゆっくりとじっくりと見ることができた。
「確かに綺麗だな」
一人だとそうは思わなかっただろう。しかし彼女と一緒に見るだけでこの日の出も、その周りの冷たさを感じさせるビルなどの構造物までもが美しいと思った。この時に俺の手に温もりが消える。
「何をしているんだ?」
手の中に寂しさを覚えて彼女の方を見ると、彼女は胸の前で両掌を合わせて目を閉じていた。
「おい、何をしているんだ?」
俺が同じ質問を繰り返すが、彼女は何も言わず黙ったままでずっとその体勢を崩さない。そしてようやく目を開けたと思ったら、俺にも両掌を合わせて目を閉じろと指示してきた。
「何でそのようなことをしないといけない?」
一体また何の儀式なのかと訝し気に聞いてみると、彼女はいいからと言って俺に先ほどの彼女と同じ体勢を作らせる。そしてそうするとようやくそれをする意味を教えてくれた。
「初日の出に向かって心の中で願い事をするんです。今年も健康で過ごせますようにとか、そんな願いです。でも言葉に出してはいけませんよ。心の中で神様と交信してください」
何とも怪しげな宗教染みた言い方だと思いながらも、俺は何を願おうかと考えた。
このまま――
先ほど思っていたことを心の中で呟く。
今感じている幸せがずっとこのまま、先の未来にも在りますように――
新しい年が始まる。
俺にとって新しく広がる世界の始まり――
「初日の出?」
「一月一日(元日)の日の出のことです。この島国ではずっと昔から一年に一度の最初の夜明けでおめでたいとされてきたんだそうですよ」
彼女が立ち上がる。この時に繋いでいた手は解かれると思ったが違った。彼女は繋いだ手をそのままに俺もその場に立ち上がらせる。そして窓の傍まで引っ張って行き、俺はされるがままにされていた。
「綺麗ですね……」
ビルとビルの間をゆっくりと太陽が昇っていく。冬の寒空の中で暖かみを感じさせるこの日の出を、俺は意識して見たことがない。今日初めて、ゆっくりとじっくりと見ることができた。
「確かに綺麗だな」
一人だとそうは思わなかっただろう。しかし彼女と一緒に見るだけでこの日の出も、その周りの冷たさを感じさせるビルなどの構造物までもが美しいと思った。この時に俺の手に温もりが消える。
「何をしているんだ?」
手の中に寂しさを覚えて彼女の方を見ると、彼女は胸の前で両掌を合わせて目を閉じていた。
「おい、何をしているんだ?」
俺が同じ質問を繰り返すが、彼女は何も言わず黙ったままでずっとその体勢を崩さない。そしてようやく目を開けたと思ったら、俺にも両掌を合わせて目を閉じろと指示してきた。
「何でそのようなことをしないといけない?」
一体また何の儀式なのかと訝し気に聞いてみると、彼女はいいからと言って俺に先ほどの彼女と同じ体勢を作らせる。そしてそうするとようやくそれをする意味を教えてくれた。
「初日の出に向かって心の中で願い事をするんです。今年も健康で過ごせますようにとか、そんな願いです。でも言葉に出してはいけませんよ。心の中で神様と交信してください」
何とも怪しげな宗教染みた言い方だと思いながらも、俺は何を願おうかと考えた。
このまま――
先ほど思っていたことを心の中で呟く。
今感じている幸せがずっとこのまま、先の未来にも在りますように――
新しい年が始まる。
俺にとって新しく広がる世界の始まり――

