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Eternal
第6章 Reunion-再会-
 細胞の影響からなのか、誕生してからの生活環境の中で何か問題があったのかは未だに謎だ。ただ正気の時はとても真面目で好青年。しかしいったんもう一つの人格にスイッチが入ると、誰もが手に負えないほどの狂気の姿を現す。どのような頑丈なロボットでも片手で捻りつぶす力を出したり、標的にした相手をなぶり殺すことを何とも思わない性格になるのだ。そして正気の時には大勢の輪の中にいても誰にでも平等であり、贔屓をしないことで人気があったが、狂気の時は一人や一つのことに執着する癖があり、独占欲の強さが異様に高くなるのだ。
 成功事例が失敗作だと伝えられ、その男が狂気的な人格を出すと誰も止めることができない。そこで研究者たちはその男を施設内のDungeon(地下牢)に隔離することになった。一日数回の心理療法を行う。この時にはもうその男に相手の女はいたが、その女は様子を見に一度も来ることはなかった。この時には既にこの『ヒト』である男とその女の関係はあった。歳も十ほど離れていた。初めは妹のように思っていたその女の悩みの相談を聞いていたその男の心の中に愛という感情が芽生えたのだ。
 最初はその女の診断から始まった。もちろん診断をするのは女医だが、そこでその女の全身に消えない傷痕が多く存在することを伝えられた。顔を合わせた当初、その女は全く笑わなかった。『ヒト』は感情豊かだと言われるが、様々な苦痛を与えられると、その感情は徐々に失われていく。それは『ヒト』の中に必ずある繊細な部分である。そこが破壊されると『ヒト』は正常さを保てなくなり、とても不安定になる。
 あの事件の夜の男が言っていた『ヒト』は一度壊れてしまえばなかなか元の状態に戻ることができないということだ。
 その女は単独でリストカットをするようになっていた。この行為はこの島国が先進国となってからの青年たちに多く見られた。ストレスの要因を言語化できない青年たちが行動で気づいてもらおうという自傷行為である。その行為をする青年たちの多くが心の中に悩みを持っていた。その女もまた何も話さない代わりにその自傷行為を常に行っていた。それに気づいた男はその女と共に同じ屋根の下で暮らすことにした。少しでもその女の中にある悩みを和らげてやりたいというのが最初の目的である。それにこの自傷行為は青年たちにとって”命懸けの助け”を求めているのだ。 

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