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Eternal
第6章 Reunion-再会-
 俯いたままで唇を噛み締めていると、隣で彼が動く気配を感じて顔を上げる。と、少し中腰になりながら私の方をじっと見つめていた。
「父親に会えたのに嬉しくないのか?」
 唇に歯形がついていると彼に指摘されて、思わずその個所を片掌で覆い隠す。
「嬉しいって…… ずっと一緒に暮らしてなんかいなかったからどう喜べばいいのかよく分かりません」
 元気そうにしていたので安心はしましたけれど…… この言葉は本心だ。
「何か他に悩みごとでもあるのか?」
「えっ?」
 彼は私の答えを待たずに今度こそ椅子から腰を完全に離すと、カフェテラスから出る仕草を起こす。それを黙視で確認をした私も椅子から立ち上がって彼の背後を追いかけた。
「父親って感じがしないんです……」
 帰り道、私は彼にそう告げた。
「実は血が繋がっていなかったとか?」
「何でそんな話の内容になるんですか? ああ、私の説明が悪かったと思います。両親と会うのは数十年ぶりで、一緒に暮らした記憶もほぼないのでそのような感じを受けたんだと思います」
 そういえばカフェテラスを出る前にも言っていたな――
 彼はそう言いながら歩数を増やしていく。私もそれに続いた。
「しかしそれにしては何か浮かない表情をしているな」
 彼の洞察力はすごいものがあるなと思い、それと同時に感情にはまだ不慣れなのにどうしてこういうことに関しては敏感なんだろうと不思議に思う。そして彼がそう思うほど、私はそのような感情を顔の中に剥き出していたのかと思うと、まだまだ子どもだなと溜め息を吐き出した。
「嫉妬、ですかね……」
「嫉妬だけか?」
 彼の即座の再度の質問に私はお手上げとでもいうかのように、今度は大きな溜め息を吐き出した。
「不安、もありました。父親は私を必要としてくれているのかって…… 何か母親のことばかり考えているようだったから」
 だから自分は父親にとって必要な存在なのか、そして自分のことは今まで一度も案じてくれたことはなかったのかという不安と嫉妬が心の中に起こったことを全て吐き出した。
「俺にはよく分からないが……」
 そうだろうなと、彼に話して果たして良かったのか悪かったのか。だって、彼に分からないことを話してその対処法など彼の口から飛び出すことはないだろうから助言など期待できないなんて思っていると、
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