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Eternal
第6章 Reunion-再会-
「昔、あいつは俺の前であんたのことを話していたよ」
 そのようなことを言わないで―― 私は歩き続けながらギュッと両目を閉じる。
 本当は両耳を塞ぎたいのに―― でもそれができなくて、できない理由はよく分かっている。聞きたいのだ、父親のことを―― だから塞がれないそこへ彼の小さな声音がスルスルと流れ込んでくる。
「まだ相手の女も生きていた頃だしな。心にも余裕があったんだろ。それにあんたは地方の安全な場所にいる。初めての研究結果の完成品だとも知られていないし、普通の暮らしをしていたからこそ……」
 完成品なんて言葉はあんたを傷つけるな、その後は何と言ったらいいのかな―― と困惑しながら呟いている。確かに完成品なんて言葉は私でなくとも誰にでも傷つける言葉だ。でもそれに気づいてくれた彼の気遣いが嬉しい。
 私たちは沈黙を続けながら家路に着く。真っ直ぐ向かうのではなくて、少し、少し寄り道をしながら。そして家に着いた頃には既に夜も更けていた。
 シャワーを浴びた後に寄り道の途中で購入した夕食をテーブルの上に乗せて食べるが、今日の出来事があまりにも衝撃的なものであって、私の食欲はなかなか湧かない。そんな私の目の前では彼が料理をしっかりと口に運んでいた。
 私がフォークを置こうとした時、彼は口の中のものを喉奥へと流し込んで唇を揺らした。
「あいつはもう一度、幸せだった日々を取り戻したいんじゃないかな?」
「え……?」
「きっと、幸せすぎたんだよ。それでその感覚から抜け出すことができていない」
 それは違うのではないかと私は思った。が、彼の言葉は次に続いている。以前に彼から話の腰を折るなと言われたことがあったから私は何も言い返さずに黙り続けた。
「別に当時の幸せを取り戻したいと思っているわけじゃないんだ。ただあいつにとってあの時の幸せな空間には生きていても死んでいてもあの女の何かしらの存在…… 違うな、何かの一部が必要不可欠なんだ」
「死体でも……?」
「ん…… 死体でも、身体の一部でも。例えば骨とか…… まあ、何でもいいんだろ、彼女のものだったら、身体だけじゃなくて何でも……」
 それほどあの女のことを愛していたんだな――
 年の割に純粋な心を持っていたとは、まるで子どもみたいだ――
 彼は嘲るような笑い声を放ったが、顔の中にはそのような色がなかった。
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