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Eternal
第6章 Reunion-再会-

と、顔を上げた先にはいつも通りの無表情の彼の顔があった。
「”完璧”というのは、『ヒト』の優れたところばかりを身に着けることじゃない、恐らくね。初めて出会った時のように自分の手が汚れているからと相手に気遣ったり……」
「それを知っていたんですか?」
あの時の彼は気づいていないと思っていたのに。驚く私の顔を見つめながら彼は可笑しそうに笑った。
「いきなりの訪問客に部屋着姿の髪の毛ぼさぼさで現れた後に思い切り慌てて言い訳をしたり、相手の心をつかむ手料理をいきなり作ったり、誰と正月を迎えたいか決まっているのに、わざわざ誰でもいいから正月気分を味わいたいと嘘をついたり……」
「な、何で……」
もう開いた口が塞がらないくらいに、私は驚き続ける私の頬にまだ湿り気を残している涙の小さな粒を指で拭い取ってくれる彼。
「そしてさっきにみたいに、自分の中にあるストレスを発散させるように怒鳴ったり喚いたり、泣いたりする。そのような『ヒト』の感情を知ってこそ、それを俺が自然にできるようになった時こそが”完璧”になった瞬間なのか、それともそれを自然にできたとしても、やっぱりあんたがさっき言ったように死の間際で”完璧”になるのかは分からないが……」
確かに複雑な感情を身に着けるのはとても簡単なことじゃない。これは毎日の生活の中で自然と身につくものだから。
「知らない間に様々な感情がこの身体の中に、細胞の奥深くに刻み込まれていくんだろうな」
あんたにこうしてパニックになってもらってから、何となく心の中のモヤモヤがすとんと落ちたような気がする、彼はそう言って再び私を強く抱き締めてきた。
「それにあいつに再会できて良かったと思う。今日会話をしてみて初めて見た、あいつの余裕のない顔。外見はすごく余裕ぶってたけどな」
そして、そのままの体勢で、
「まだ俺のあんたに対する感情が”愛”というものなのかは分からない。ただ、守ってやりたいとか一緒にいたいとかと思っているのは事実だし、嫌い…… ではないと思う。そうでなきゃ、今も一緒にいるわけがないし。こうして抱き締めていて、ずっとこうしていたいと思う自分もいるのは確かだと思う」
”愛”にはまだ届いていないのだろうけれど、彼の私に対する印象は悪くはないらしい。愛の告白をされたわけでもなくあやふやな答えなのに、なぜか私の心は落ち着いた。
「”完璧”というのは、『ヒト』の優れたところばかりを身に着けることじゃない、恐らくね。初めて出会った時のように自分の手が汚れているからと相手に気遣ったり……」
「それを知っていたんですか?」
あの時の彼は気づいていないと思っていたのに。驚く私の顔を見つめながら彼は可笑しそうに笑った。
「いきなりの訪問客に部屋着姿の髪の毛ぼさぼさで現れた後に思い切り慌てて言い訳をしたり、相手の心をつかむ手料理をいきなり作ったり、誰と正月を迎えたいか決まっているのに、わざわざ誰でもいいから正月気分を味わいたいと嘘をついたり……」
「な、何で……」
もう開いた口が塞がらないくらいに、私は驚き続ける私の頬にまだ湿り気を残している涙の小さな粒を指で拭い取ってくれる彼。
「そしてさっきにみたいに、自分の中にあるストレスを発散させるように怒鳴ったり喚いたり、泣いたりする。そのような『ヒト』の感情を知ってこそ、それを俺が自然にできるようになった時こそが”完璧”になった瞬間なのか、それともそれを自然にできたとしても、やっぱりあんたがさっき言ったように死の間際で”完璧”になるのかは分からないが……」
確かに複雑な感情を身に着けるのはとても簡単なことじゃない。これは毎日の生活の中で自然と身につくものだから。
「知らない間に様々な感情がこの身体の中に、細胞の奥深くに刻み込まれていくんだろうな」
あんたにこうしてパニックになってもらってから、何となく心の中のモヤモヤがすとんと落ちたような気がする、彼はそう言って再び私を強く抱き締めてきた。
「それにあいつに再会できて良かったと思う。今日会話をしてみて初めて見た、あいつの余裕のない顔。外見はすごく余裕ぶってたけどな」
そして、そのままの体勢で、
「まだ俺のあんたに対する感情が”愛”というものなのかは分からない。ただ、守ってやりたいとか一緒にいたいとかと思っているのは事実だし、嫌い…… ではないと思う。そうでなきゃ、今も一緒にいるわけがないし。こうして抱き締めていて、ずっとこうしていたいと思う自分もいるのは確かだと思う」
”愛”にはまだ届いていないのだろうけれど、彼の私に対する印象は悪くはないらしい。愛の告白をされたわけでもなくあやふやな答えなのに、なぜか私の心は落ち着いた。

