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Eternal
第6章 Reunion-再会-

「じゃあ、握手をします?」
これからもよろしくという意味で、と私が尋ねると、彼は私の肩に顔を埋めて、
「いや、握手よりもこっちの方がいい」
なんて、期待をしてしまいそうな言葉をくれる。その後には、
「こっちの方が温かい。今日は特別に寒いから……」
嘘、部屋の中はとても暖かくて―― でも、私もちょっと嘘をついてみる。
「そうですね。今日は特別に寒いですから、こっちの方が温かくていいですよね」
そして二人でクスクスと笑う。それはお互いが嘘を吐いているのを見抜いているから。
「いつから義手や義足をつけてリハビリできるのかしら?」
「いや、まだ早いだろ?」
「この幻痛を止めるのには、この四か所に何かを引っ付けたらいいんじゃないかと思うのよね」
「焦り過ぎだって」
まだ幻痛は治まらない。この痛みはかなりの時間続くとも言われている。精神的な苦痛であるにも関わらず、彼女は前を向いて進もうとしていた。
足はないから前に歩けないけれど、手もないから何かを作り上げることはできないけれど。
「相手の心を読むことはできるかもっ!」
なんて、大学で勉強していた心理学を極めるのだと意気込んでいる。それも声を出して笑いながら話し続けるのだから、心配していたこちら側としては驚きの連続だ。しかしこの後に彼女はボソッと独り言のように呟いたのを俺は聞き逃さなかった。
「こうでもしていないと、精神がやられそうなのよね……」
ここで彼女の感情がかなり不安定。いや、どん底なのを俺は知った。今、両手足を失くした彼女の精神的苦痛は、生活の全てに介助が必要であることだ。彼女はそれを恥じていた。
「すっごく昔のノンフィクションの映画なんだけれど見たことがあるの。両手のない女性の生き様。でも、その女性には両足があったから……」
その女性は両足を両手の代わりに使っていた。それがすごく深く印象に残っているのだそうだ。
「女性の母親が、両手がないからといって特別扱いの暮らしはさせない為に、両手がなくても一人で生きていけるようにって何でもさせたんですって。その女性はちゃんと社会人になって結婚もしたのよ」
これからもよろしくという意味で、と私が尋ねると、彼は私の肩に顔を埋めて、
「いや、握手よりもこっちの方がいい」
なんて、期待をしてしまいそうな言葉をくれる。その後には、
「こっちの方が温かい。今日は特別に寒いから……」
嘘、部屋の中はとても暖かくて―― でも、私もちょっと嘘をついてみる。
「そうですね。今日は特別に寒いですから、こっちの方が温かくていいですよね」
そして二人でクスクスと笑う。それはお互いが嘘を吐いているのを見抜いているから。
「いつから義手や義足をつけてリハビリできるのかしら?」
「いや、まだ早いだろ?」
「この幻痛を止めるのには、この四か所に何かを引っ付けたらいいんじゃないかと思うのよね」
「焦り過ぎだって」
まだ幻痛は治まらない。この痛みはかなりの時間続くとも言われている。精神的な苦痛であるにも関わらず、彼女は前を向いて進もうとしていた。
足はないから前に歩けないけれど、手もないから何かを作り上げることはできないけれど。
「相手の心を読むことはできるかもっ!」
なんて、大学で勉強していた心理学を極めるのだと意気込んでいる。それも声を出して笑いながら話し続けるのだから、心配していたこちら側としては驚きの連続だ。しかしこの後に彼女はボソッと独り言のように呟いたのを俺は聞き逃さなかった。
「こうでもしていないと、精神がやられそうなのよね……」
ここで彼女の感情がかなり不安定。いや、どん底なのを俺は知った。今、両手足を失くした彼女の精神的苦痛は、生活の全てに介助が必要であることだ。彼女はそれを恥じていた。
「すっごく昔のノンフィクションの映画なんだけれど見たことがあるの。両手のない女性の生き様。でも、その女性には両足があったから……」
その女性は両足を両手の代わりに使っていた。それがすごく深く印象に残っているのだそうだ。
「女性の母親が、両手がないからといって特別扱いの暮らしはさせない為に、両手がなくても一人で生きていけるようにって何でもさせたんですって。その女性はちゃんと社会人になって結婚もしたのよ」

