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Eternal
第6章 Reunion-再会-
 あの忌まわしい事件さえなければ、彼女は幸せな未来を夢見続けることができたであろう。しかし、両手足を失くした為に、その未来さえも目の前から消えてしまったのだ。たった数時間の間に彼女の幸せはぶち壊されてしまった。
「俺がちゃんと責任を取る」
 これは彼女が目覚めてから何度か伝えた言葉だ。この言葉に偽りはない。しかし彼女はそれに首を縦に振ってくれないのだ。
「こんな私の介助なんてとても大変よ。それにあなたにだって幸せになる権利があるじゃない」
「でも、俺の相手はお前だから……」
「そんな義理堅くならなくていいし、私がこんなことになったのは自分のせいだって思いこまなくてもいいのよ」
 あのミスコンに参加するって決まった時から、こうなる運命になるように歯車が回り始めていたのだろうから。
「そういえば、今日からCarnivalだな」
 俺は話題を変える。と、彼女も分かっていてなのだろうがそれに乗ってきてくれる。
「ミスコンは開催されるの?」
「いや、お前のことがあってから中止になった。他の参加者も『ヒト』だろ? あれに出場したら目立つ上に狙われやすくなる」
 あのミスコンに出場するのは『ヒト』の女限定だから。ミスコン開催前に『ヒト』の女が攫われるということで警察の監視もかなり強くなっていたから、今のところは他の出場者が行方不明になることはなかった。しかしあの大規模なfestivalでは何が起こるか分からないから、俺もこの後から彼女の通っている大学に向かうつもりだ。
「また夜に来るから……」
 俺がそう言って立ち上がると、彼女は首を横に振る。
「無理して来なくてもいいから」
 いや、俺がここに来たいから。彼女は知らない、俺が彼女に一目惚れをしていたことを――。
 あのミスコンのリハーサル。周りの女たちも確かに綺麗だった。そう、綺麗だったのだ。しかし彼女は可愛らしかったのだ。主催者であった犯人の好みには程遠くかけ離れていた彼女。彼女の友人にはどれが彼女なのか分からないと伝えて探してもらったが、実は意外に早く見つけることができていた俺。でも何だろう? 一目惚れだったなんて彼女に言えるわけもなく、どうしてか”責任は取る”なんていう嘘を吐いてしまった。
 普通に一目惚れしたんだって言えばいいだけのことなのに、そんな簡単な四文字を口から出すことができない。
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