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Eternal
第7章 Carnival-祭り-
 賑やかなことはいいことなのかもしれないが、これは少し酷くないか? 首都大学の学生として恥ずかしくないのか? 大学の中を歩きながら俺はそう思う。大人になりかけの『ヒト』の男女が騒ぎまくっている。その中をロボットが同じ表情で大学祭用にプログラミングされた動きをしていて異様な雰囲気を醸し出している。
「お祭りって何かワクワクしてとても楽しいですね」
 手を繫いで並んで歩いている彼女がそう言うから『ヒト』にとってこのような祭りは楽しいものなのだろうが、俺にとってはさっぱりとよく分からない。ただ日常の中で騒いでいる馬鹿にしか思えなかった。しかしこれが俺と『ヒト』との考え方の違いなのか。
「この島国民は、昔からお祭りごとが好きだったみたいですよ」
 そうらしいが、俺の知識の中に祭りというのは豊穣の祈りや祝いだったりとか、悪を祓う為のものだったりとか、そういうものでしかない。
「あ、リンゴ飴ですよ! あっちでは金魚すくいをやってる!」
 焼きそばにタコ焼きだ! と彼女は左右に忙しく顔を動かしている。十九歳にもなろう彼女があまりにも子供っぽく見える。まあ、それはそれで可愛らしいと思うのだが、この温度差は何だろう? 
 彼女はこの喧騒にも全く疲れもしないで、徐々に興奮を起こし始めているというのに、俺はこの大学に入って五秒も経たないうちに何となく疲れが生じていた。それはきっとこのような賑やかさに今まで慣れ親しんできたわけではないからということもある。いや、こういう場所は自ら避けてきたような気もする。大体このような外で食べ物を作って売られていることも、それを購入して食べている周りの『ヒト』を見ていて唖然ともした。この首都は無菌状態にあるが、今まで地方で暮らしていた『ヒト』は祭りの時にはこうして外で作って売られている食べ物を果たして普通に食べていたのか? 地方はここと違って無菌状態ではない。どのような細菌が混じっているかも分からないじゃないかと考えている時、
「あの、ちょっとお腹が空きません?」
 と彼女が声を掛けてきた。それに対して俺はやはり、
「俺は空いていない」
 と答えてしまう。と、彼女は少し残念そうに屋台の方を見つめながら、じゃあ先に行きましょうなんて言うものだから、少し悪いことをしてしまったかと一応考えた。
「何か食べたいものがあるのか?」
「えっと、たこ焼きです」



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