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Eternal
第7章 Carnival-祭り-
「たこ焼き? かなり西の方の食べ物だったか?」
「そうです。私、そこら辺で高校卒業まで暮らしていたんです。だから馴染みがあって」
 でも、向こうとこっちとじゃ味が違うかも…… なんて言いながらその屋台の前まで歩き寄って行く。その時に手が離れ、俺は何となくだが少しの寂しさと肌寒さを感じた。
 賑やかな場所は嫌いだ。こういう騒ぎ立てるものたちも苦手。しかしあの手を繫いでいたらそれも我慢できるものだと手が離れた今、俺はそう感じた。それはやっぱり彼女のことが少しでも好きなのだだろう。
「いや、少しじゃないな、きっと俺は……」
 かなり好きになっている。大人の女であるように背伸びをして見せる姿や、昨夜のように泣き喚いたり、今のように祭りの中で子どもっぽさを見せたりとする、その時と場合によって変化する姿に魅力を感じ始めている。
「たこ焼きを一つ下さい!」
 たこ焼きを売っている男に注文をする彼女の横顔は、寒さ厳しい晴天の中で陽の光を浴びて輝いている。そして俺の足は自然と彼女の立つ隣りへと向かっていた。相手はロボットだというのに……
 嫉妬するなんて何てことだと微かな苦笑を顔の中に浮かべて――
「お一ついかがですか?」
 つまようじが二本。その一本でたこ焼き一つを刺すと俺の前にそれを見せつけるようにしてくる。ドロドロとしたソースの上に鰹節と青のりがかけられたその一つが刺さったつまようじを手に取る。確かに悪い匂いではない。俺はそれを口の中に放り込んだ。その時、彼女が慌てたような仕草を起こした。その理由がたこ焼きを入れてすぐに理解できた。
「あっ、あっつ!」
「焼きたてですから熱いに決まっているじゃありませんか! 口の中を火傷していませんか?」
 彼女はそう言って水を買って来ると俺の前から走り出した。
「おい、待てっ!」
 離れたら……
 しかし彼女はかなりの俊足で、たちまち俺の前から姿を消してしまう。いや、言い換えよう。この人混みの中に紛れてしまって姿を消し去ってしまった。
「一体、どこまで水を買いに行ったんだ?」
 恐らくこの大学内にある自動販売機だろうが、それは至る所にある上に彼女が目指したその場所が俺には把握できない。だから追いかけようにもそれができないでいる。なぜなら俺が彼女を追いかけてこの場から去ると、彼女が戻って来た時に俺がいないとなると……。
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