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Eternal
第7章 Carnival-祭り-
 こうなるのだったら大学に来る前に購入しておけば良かった。いや、マンションにも飲料水は冷蔵庫の中にたくさん入っていたのだから、それを持って来れば良かったと半ば後悔をする。空を見上げるとこれが冬なのかと思われるほどのポカポカ日和だし、正直に言うと、今私が着ているコートだって必要ないくらいだ。今年は暖冬なのだろうかと思いながら、私は他の場所にある自動販売機を目指して歩いていたその時、ふいに肩を叩かれて振り向くと、そこにはフルフェイスマスクを被った男性がいた。
「何か探し物?」
 その声で私はその男性が誰かを知り、一歩後退った。
「い、いえ…… 別に」
 そう言うのがやっとだ。恐怖が先に出てしまっているようで言葉を発するのが困難。そしてこの場からどうやって逃げ出そうかと考えれば考えるほど身体の動きも鈍くなる。
「そうか、僕は探していたんだ……」
 男性が顔に覆い被さっているマスクをゆっくりと外す。そして露わになった顔を私に向けてきた途端に背中に悪寒と言いようもない痺れが走った。
 男性が私に向かって手を伸ばす。あの時と同じように柔らかな笑みを浮かべながら。
「君を……」


「確か、そうだ!」
 俺は人混みから抜けて隅の方へと移動すると、人差し指で目の前に画面を出した。彼女の居場所が確認できる位置情報をここに登録していたからだ。すると物凄い速さで彼女があちらこちらを移動しているのが分かった。それを見て何かから逃げているということも。恐らくあの男に会ってしまったのだろう。俺は彼女の位置を確認しながら走った。
 彼女の位置は彼女の命を奪われない限り消えることはない。なぜなら俺が登録したのは彼女の体温だからだ。体温もまた各々に特徴があって、それを発見したのはこの俺。今までドアロックなどや個人認証は指紋などでも行われていたが、今ではこの体温での使用も増えてきている。それを相手の位置情報に使用できないかと試してみたところ成功した。従ってそれを彼女にも使用していたのだ。こんなところで自分の研究成果が発揮できようとはと喜んでいる暇などない。彼女の動きはますます速さを増している。
 徐々に彼女のいる場所に近づいている。と思った瞬間、俺は彼女の姿を発見した。
「おいっ!」
 俺が叫ぶと彼女はこちらを振り向いて駆け寄ってきた。
「あの男性が!」
「どこだっ!」 
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