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Eternal
第7章 Carnival-祭り-

俺は彼女の指差した方へと視線を向ける。が、そこにその男はいなかった――。
失敗をした。あの時にすぐあの女を浚っておけば良かったと、物陰に隠れた男は小さな舌打ちを起こした。
一人で歩いていた為、監視はあるのだろうが浚いやすいと軽く考えた自分が甘かったと後悔をする。あの女の居場所をすぐに把握して向かって来るとは、監視係にしては早すぎる。
「まさか、相手の男が一緒だったとはね……」
しかしあの男の顔は研究所でよく見かける。研究成果もかなり出している有能な男だ。確か養育者はあの男だったなと男は口元を酷く歪ませた。
「僕の大切な相手を奪った、あの男だ……」
細胞から作られた男はこの島国内で初の成功事例として大切にされていた。しかし男の中身は完全なる失敗作だったのだ。頭脳は問題なかった。ただ、心が壊れていた。
細胞の提供者は情緒不安定で精神科に入って長年治療を受けていたという。そのような『ヒト』から与えられた細胞にはその特徴が大きく影響していた。全ての感情は脳からの指令だ。それがどうして、どうして…… 男は自分のその病を克服するために何度も研究を重ねた。しかし無理だった。恐らくこれは心理面の問題なのだろう。それをどうやって治す?
投薬で? そのようなものひと時の気休めにしかならない。
「だから『ヒト』なんて……」
ちょっとしたことで心を壊し、自分を破壊してしまう『ヒト』 感情を持つ分『ヒト』は強いとは言われていても結局心が壊れてしまえばロボットと同じではないか。相手を信じられなくなると好意を抱くことや愛することなどよりも先に猜疑心が先行する。そのような問題を持った細胞が今自分の中にあると考えるだけで反吐が出そうだ。
純粋な心を与えられなかった男は相手の女に出逢った。男にないものばかりを持っていた女。その女を自分と同じように黒く染めたかった。そして離したくなかったのに――
浚おうと思っているあの女は自分の相手だった女によく似ている。
彼女が生んだのか――? いや、それはあり得ないんだ。なぜなら――
「この僕が彼女の子宮を壊した…… だからそのようなことがあるわけがない」
仕方がない、また――
男は再びフルフェイスマスクを被ると、物陰から込み合う人混みの中へと紛れ込んで行った――。
失敗をした。あの時にすぐあの女を浚っておけば良かったと、物陰に隠れた男は小さな舌打ちを起こした。
一人で歩いていた為、監視はあるのだろうが浚いやすいと軽く考えた自分が甘かったと後悔をする。あの女の居場所をすぐに把握して向かって来るとは、監視係にしては早すぎる。
「まさか、相手の男が一緒だったとはね……」
しかしあの男の顔は研究所でよく見かける。研究成果もかなり出している有能な男だ。確か養育者はあの男だったなと男は口元を酷く歪ませた。
「僕の大切な相手を奪った、あの男だ……」
細胞から作られた男はこの島国内で初の成功事例として大切にされていた。しかし男の中身は完全なる失敗作だったのだ。頭脳は問題なかった。ただ、心が壊れていた。
細胞の提供者は情緒不安定で精神科に入って長年治療を受けていたという。そのような『ヒト』から与えられた細胞にはその特徴が大きく影響していた。全ての感情は脳からの指令だ。それがどうして、どうして…… 男は自分のその病を克服するために何度も研究を重ねた。しかし無理だった。恐らくこれは心理面の問題なのだろう。それをどうやって治す?
投薬で? そのようなものひと時の気休めにしかならない。
「だから『ヒト』なんて……」
ちょっとしたことで心を壊し、自分を破壊してしまう『ヒト』 感情を持つ分『ヒト』は強いとは言われていても結局心が壊れてしまえばロボットと同じではないか。相手を信じられなくなると好意を抱くことや愛することなどよりも先に猜疑心が先行する。そのような問題を持った細胞が今自分の中にあると考えるだけで反吐が出そうだ。
純粋な心を与えられなかった男は相手の女に出逢った。男にないものばかりを持っていた女。その女を自分と同じように黒く染めたかった。そして離したくなかったのに――
浚おうと思っているあの女は自分の相手だった女によく似ている。
彼女が生んだのか――? いや、それはあり得ないんだ。なぜなら――
「この僕が彼女の子宮を壊した…… だからそのようなことがあるわけがない」
仕方がない、また――
男は再びフルフェイスマスクを被ると、物陰から込み合う人混みの中へと紛れ込んで行った――。

