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Eternal
第2章 :Discomfort-違和感-
「衣類の消毒が終了しました。これで全ての「関門」を無事に突破されましたので、後は外に待機している首都案内人にあなたの身柄を引き継ぎます」
 検査員がいつの間にか私の目の前で立っていた。開いた消毒室のドアから出た私は、私よりも先にそこから出ていたクラスメイトたちの顔を見て一気に気が緩んだ。ああ、生きてこの消毒室から出られた。ただの消毒だったのだ。そう理解した瞬間にへなへなとその場に座り込んでしまう。もちろんクラスメイトもそうだったようで、私の顔を見た瞬間に安堵の表情を浮かべると、私の目の前にしゃがみこんでいた。クラスメイトもまた私と同様で、消毒される前に以前に習った歴史の内容を思い出したのだそうだ。私とクラスメイトは顔を見合わせながら脱力した笑みを浮べ、周りにいたクラスメイトの男子の一人が私とクラスメイトの肩を優しく撫でてくれていた――。
 私と他のクラスメイトたちは「関門」を突破する途中で消えたクラスメイトの数人が現れるのを待った。あの「関門」は一人ずつしか入場することができない為、私はもちろんのこと、他のクラスメイトもその数人がどうなったのか全く分からないでいる。首都に入る資格を得たはずなのに、その数人は首都の入り口にいる私たちの所に姿を現さない。結局、その数人は私たちが受ける首都国立大学の試験会場へも姿を現さなかった。
 入学試験会場に入った時、私の頭の中で何かが鳴り響き、ひらひらとしたものが舞い落ちる。掌を天井に向かって広げると、それは美しい小さな花々だった。
「五十人目の入都、おめでとうございます!」
 試験の日に、それも今からのそれで私のこれからの全てが決まるという大切なこの時に、私はキリ番だったのか、盛大な歓迎を受けてしまった。まあ、大学内ではこのようなレセプション的なことをよくするとは聞くが、今、これはないだろう。
 何か、受かる気がしない――
 そう思いながら、私は首を傾げながら上を見上げた。
 五十人目?
 くす玉と呼ばれる、真っ二つに割れた物体の中心から垂れ落ちている幕に私の視線は静かに止まる。そして私は歓迎の言葉を発した男性に視線を流した。
 今この男性は確か、五十人目の入都って言ったわよね?
 「鎖国」を始めてから、五十人しか入都できていないの?
 私の視線を感じているのかいないのか、男性は私の瞳の中でずっとにこやかな笑顔しか見せない。
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