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Eternal
第2章 :Discomfort-違和感-
 この男性、少しおかしいの――?
 私はそっと視線を逸らすと、足早に試験会場へと向かった。

「試験、難しかったねぇ」
試験日に首都国立大学側が用意してくれていたホテルの一室で私たちは何十年ぶりだろう―― 寛ぎの時間を堪能していた。あの苦しい勉学からようやく解放された気分を大いに味わいながら、受かると思うかと問い掛けてみれば、クラスメイトの表情はかなり複雑だ。
「地方からあの大学に受かるのは一、二パーセントらしいわよ。私、数学がほぼ白紙に近いから多分落ちたわ」
大きな溜め息を吐き出した後に、小さな呟きを溢す。
「どうなったんだろうね……」
「関門」の途中で姿を消したクラスメイトの数人を心配する内容のものだった。
「施設に無事、戻れてるといいんだけど……」
この時に私は初めて、自分の耳で自分の声をはっきりと聞き取ったような気がした。


「少子化が加速。このままでは島国内の人間が消滅する、だってさ。まあ、これに載っている記事はあまり信用できないけれどねぇ」
 私のかつてのクラスメイトは今でも友人だ。その友人が一枚のビラのような紙を見ながら目の前にあるアイスコーヒーを啜る。
「へえ…… でも確かに信用はできないわね。だって子どもはあちらこちらにたくさんいるもの」
 私がそう返事をすると、友人は人差し指を私に突き刺しながら、そうでしょ? と大きく鼻を鳴らした。
「どこの学校もマンモス化しているから教育機関はアップアップしているって言っているくらいよ。『H地区』の西の方に幼稚園から高校まで統合させた教育施設を建てるっていう話も浮上しているしね。それなのに何で少子化?」
「さあ……? でもあなた、この新聞の記事は信用しないんでしょう?」
「まあ、そうだけどさ…… 何か、何だろう? 最近色々と疑問がねぇ」
 今朝もまたこの首都にある新聞が振り撒かれた。それの名は『FUTURE REHABILITATION』この島国の言葉で訳せば『未来更生』という意味だ。大学に入るまでの間に外国語の勉強をしていて良かったと、今ではそう思う。なぜならば、その新聞の記事は全て外国語で綴られているからだ。その新聞の記事によると、私たちが生まれたこの島国は今、少子化が進んでいて人類の危機的状況なのだそうだ。
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