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Eternal
第2章 :Discomfort-違和感-
 私が生まれたこの国は未だに少子化が進んでいるとこの記事は大々的に書いている。それが進み始めたのはかなり過去の話で、今その言葉を聞いてもあまりピンとはこない。
 過去に高度経済成長期があり、その後のこの島国の男たちは皆、国の為会社の為、自分たちの暮らしの為にと必死に働いて生きてきた。そのような中でバブルという時代に起こった資産価格の上昇と好景気によって生じた社会現象。この時のこの国の時価と株式の資産は高騰した。
「バブル時はあちらこちらでお札が舞っていたっていうじゃない」
「ははっ! お札が舞うってそんなわけないじゃない。ただ、そう例えるくらいにこの国の経済がすごかったってことでしょう?」
 過去の栄華の語りは数十年が経った今でも色褪せることなく私たちを魅了する。
 今が貧乏で不幸だというわけではない。なぜならばこの島国内で「貧」が使われる言葉が消えてしまって耳にすることが全くないからだ。それよりも過去の栄華が再びぶり返しているのではないかと思われるくらいだ。まあ、それは言い過ぎたとして、この島国内が程よく安定していると言うべきか。私たちの周りにお札が舞うことはないけれども、経済も安定を保ち続けている。
「あ、総理大臣のスピーチが始まるよ」
 友人の言葉に私の視線は大学構内のカフェに設置してあるテレビの画面に流れた。
 総理大臣は女性であり、私が生まれる以前から様々な役職を経て今の地位に至るらしい。テレビの画面に映る姿は総理大臣に就任した頃から全く変わっていないのだと言う。歳は既に七十路を超えているらしいのだが、顔はまだ三十路、四十路くらいではないかと思われるくらいだった。
「やっぱり仕事をしている女性って若々しく見えるのかしらね?」
「ん…… そうなのかなぁ……」
 いくら何でも七十も過ぎてこの若さを保つなんて少しあり得ないんじゃないだろうかと私は思った。
 この女性が総理大臣になってから、この首都の名が変更された。テレビの画面から総理大臣のスピーチが続く。テレビといっても、今の時代のそれは空間に画面が映し出されるものであり、それは三百六十度のどの場所からでも観ることができた。
 崖っぷちだったこの島国が今では全島国民が優雅な暮らしを政府側から提供されている。私にとってそれが今抱いている違和感だった。
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