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Eternal
第2章 :Discomfort-違和感-
 嫌いではない。しかし告白をされてすぐに「yes」と口に出せるほどの気持ちが私にはなかった。
だから少し考えさせてほしいと時間をもらったまま今に至る。
「そろそろ返事が欲しいんだけれどな……」
 私の隣りを歩くその男は深い溜め息を吐きながら、今の自身の気持ちを真っ直ぐに伝えてくる。
「そうね、そろそろ返事をしないといけないとは思っていたの」
 と答えながら、この時の私は隣を歩くこの男に微かな違和感を抱いていた。
 何かがおかしいのだ、どこかが変なのだ。ただ何がおかしいのか、どこが変なのかが私には理解できない。この違和感は今日だけ抱いたわけではない。今までにも何度かそれを感じたことはあった。しかしそれについて答えが全く出ない為に頭の中に靄がかかったような状態であった。
「じゃあ、今日にでも返事をくれるのかな?」
 男が私の顔を覗き込んできた。その顔の中には希望に満ちた笑みが浮かんでいる。その笑みにも私は何かがおかしいと思っていた。そう、あの時に瞳の中に映ったそのままの笑みが再び私の両の瞳に映る。笑みにも色々と変化が出るものだ。変わらない笑みなんてあるのだろうか? しかしそのようなことを口に出すことができるわけでもなく、私は男に微笑みを返す。
 何かで試してみないと、何か行動で示してもらえば、今私が抱いている違和感が解消されるのだとも考えた。これと決まった行動なんて私の中にない。ただ、自然の流れでこうした方がいいと思った。
「今日は家の前まで送ってくれる?」
 私の顔を覗き込んでいた男がまた同じ笑みを顔の中に作り上げる。
「もちろんだよ。好きな女の子を家に送るのは男にとって大切な役目だよ」
 優しくていつも微笑んでいるこの男から告白を受けたのは暑い夏の日。それなのに私は、クリスマスの音楽やイルミネーションが街中に響いて輝くこの時期までその返事を長引かせていた。友人の話ではこの男、かなりの秀才らしい。私の言葉を聞いてすぐに理解したようだ。その証拠に今の男の歩みは先ほどよりはほんの少しだけ軽やかに感じた。
 そう、私は家の前に着いた時に返事をするつもりでいた。
 他愛のない会話を続けながら私の家の方向に音を立てる四足。私の家は『H地区』と呼ばれる場所にあった。そこは地方からこの首都にやって来た学生が住む為のマンションがある。
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