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Eternal
第3章 :confusion-混乱-

先ほどよりも外気温はかなり下がっているはずなのに、私の心の中は陽だまりのように暖かい。男は振っていた手を見つめると、緩慢な動作でその手を再びポケットにしまう。そして私の方に振り返ると、もう片方の手でマンションに入るように無音の指示をくれる。私は『彼』に向かって深くお辞儀をするとマンションの方に前身を向けて歩んで行った。
車の後部座席と助手席から白衣を纏った男たちが飛び出すように降りて来ると、俺の傍で少し焦げる異臭を放っている『モノ』の方へと向かって走って来ていた。その後に運転席から私服を着た男がゆったりとした動きで車を降り、俺の隣りまで歩み寄って来る。そしてその隣にピタリと引っ付くようにして立った男はポケットから小さな箱を取り出す。そしてその中から一本の紙煙草を引き抜くと口に軽く咥えた。
カチリと金属音が俺の鼓膜を震わせる。視界の限界の場所からは小さく灯る炎。それは紙煙草の先を赤に染めるとすぐに消え去った。
「何で、これが首都の中にいるって聞いたよな?」
「ああ、そのことね」
男は大袈裟に煙草を吸うと、口内に溜めていた主流煙を寒空へ向かって吐き出した。白い靄のように揺らめくその煙を憎々し気に睨んだ。
「この地区は禁煙だって知っているよな?」
しかし男は悠然と紙煙草を吸い続ける。そして暫し吸うのを休憩した時に言葉を返してくる。
「女がいる場所では、だろ?」
そう言うと、ニコチンを体内に取り入れて満足をしたのか、吸い終わった吸殻をこれもまた煙草の箱が入っていたポケットから取り出した携帯の灰皿の中に突っ込んだ。
「『ヒト』を襲ったって?」
「この地区は『ヒト』しかいないだろ? どうやって他の『モノ』を襲うんだよ」
「んんん…… まあ確かに、そのようなプログラミングはされていないからね。しかし『モノ』が『ヒト』を襲うとはねぇ……」
携帯の灰皿に吸殻を押し込めたものの、男は普段の癖が身体に染みついているようだ。紙煙草を持っていた方の手を軽く降り落とすような動きを起こすと、片方の足裏で何も落ちていない個所をぐりぐりと踏み潰すような仕草を起こした。
「この島国が「鎖国」を始めてから数十年が経つが、やはり綻びというものが生じてきているのか……」
男の言葉が気になった俺が首を傾げる。その仕草をチラリと見た男は難しい表情を俺に見せる。
車の後部座席と助手席から白衣を纏った男たちが飛び出すように降りて来ると、俺の傍で少し焦げる異臭を放っている『モノ』の方へと向かって走って来ていた。その後に運転席から私服を着た男がゆったりとした動きで車を降り、俺の隣りまで歩み寄って来る。そしてその隣にピタリと引っ付くようにして立った男はポケットから小さな箱を取り出す。そしてその中から一本の紙煙草を引き抜くと口に軽く咥えた。
カチリと金属音が俺の鼓膜を震わせる。視界の限界の場所からは小さく灯る炎。それは紙煙草の先を赤に染めるとすぐに消え去った。
「何で、これが首都の中にいるって聞いたよな?」
「ああ、そのことね」
男は大袈裟に煙草を吸うと、口内に溜めていた主流煙を寒空へ向かって吐き出した。白い靄のように揺らめくその煙を憎々し気に睨んだ。
「この地区は禁煙だって知っているよな?」
しかし男は悠然と紙煙草を吸い続ける。そして暫し吸うのを休憩した時に言葉を返してくる。
「女がいる場所では、だろ?」
そう言うと、ニコチンを体内に取り入れて満足をしたのか、吸い終わった吸殻をこれもまた煙草の箱が入っていたポケットから取り出した携帯の灰皿の中に突っ込んだ。
「『ヒト』を襲ったって?」
「この地区は『ヒト』しかいないだろ? どうやって他の『モノ』を襲うんだよ」
「んんん…… まあ確かに、そのようなプログラミングはされていないからね。しかし『モノ』が『ヒト』を襲うとはねぇ……」
携帯の灰皿に吸殻を押し込めたものの、男は普段の癖が身体に染みついているようだ。紙煙草を持っていた方の手を軽く降り落とすような動きを起こすと、片方の足裏で何も落ちていない個所をぐりぐりと踏み潰すような仕草を起こした。
「この島国が「鎖国」を始めてから数十年が経つが、やはり綻びというものが生じてきているのか……」
男の言葉が気になった俺が首を傾げる。その仕草をチラリと見た男は難しい表情を俺に見せる。

