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Eternal
第3章 :confusion-混乱-
「下手に決まっているじゃありませんか。そもそも軍隊に入ろうなんて考えたこともないです。敬礼のやり方は遊びで覚えたものです」
「遊び……?」
 首都外で長年暮らしていた私にとって、ここの設備は『ヒト』をなまくらにさせてしまうのではないかと思われるほどに簡単かつ便利すぎるものだ。先ほどの通りで、玄関には厳しいセキュリティがつけられていて、普通の訪問者なのかそうでないかの確認を必ず行ってくれて教えてくれる。 
 時計など部屋の中に置かずとも、時間を問えば教えてくれる。朝には窓の外を見なくても天気はどうかと尋ねれば、今日だけの天気の予報だけではなくて付録のように週間予報まで教えてくれるのだから、自分で考えて行動しようとは思わないし、最近はこのシステムに頼り過ぎているような気もして、この先に首都から出ることがあれば、出た先で一人で生きていける自信がない。
「昔、幼い頃に色々な”ごっこ遊び”をしたんです。家族の真似事をしたり、スパイごっこにちょっと背伸びをした不良とかそれを掴まえる警察の役とか、探検ごっことかですかね」
「……」
 彼からの返事がなくて、何を話していけばいいのか分からなくなる。普通なら、ダサいとか幼稚とか、趣味の悪い遊びだとか言われたり、逆に相手も幼い頃にそのようなことをしたという言葉を返してきて盛り上がったりとかするはずなのに、その両方ともない。つまりは反応がなくて、真面目に説明をした自分が馬鹿らしくなったけれど、一応はまだこのような時はどういうふうにするかという選択肢をいくつか持っていたり、判断をする能力は衰えていないようだ。私は二つのコーヒーカップの中に湯を注ぎ入れると、それを両手に持って彼の前にあるローテーブルまで持って行った。
「そういう遊びをしたことがありませんか?」
 カチャンと丁寧且つ静かな音を鳴らしてコーヒーカップをローテーブルの上に置いた私が尋ねると、彼は小さな頷きを起こしてようやく返事をしてくれた。
「ないな」
 ここで私は首を傾げた。普通、人生の中の幼稚園児くらいでこのような遊びはお決まりのように経験するのではないかと不思議に思ったのだ。それがこの彼にはないらしい。
「生まれてからずっと英才教育でも受けていたんですか?」
 なぜそのような遊びを知らないんですか? なんて少し失礼かと思い、違う問いかけをしてみる。
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