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Eternal
第3章 :confusion-混乱-
「何が?」
 彼は話の流れを止めた私の方に疑問の色をした視線を向けた。
「だって、研究者は島国の権力者からの依頼を断ったんでしょう? それなのになぜその研究者が殺された後に、その研究の中身が首都の管轄になるんですか? 研究者が生きていれば絶対にそうならなかっただろうし、恐らく殺された後もそれを望まないはずだから、研究者の仲間がそれを阻止するはずです」
「なぜ、首都に委ねたくなかったんだ?」
「悪用されるからです」
「悪用?」
 そうに決まっている。研究者はきっと依頼をされた時にそう直感したに違いない。だからそうさせないように依頼を断った。しかし研究者は殺された。
 依頼を断ったが為に――
「研究者はただ病を持っている『ヒト』に希望を与えたい研究を開発したかっただけです。さっきあなたはこう言いましたよね? 島国の権力者たちはただ単に子どもが増えることを望まなかったって。若くて優秀な人材が欲しかったって。権力者たちは……」
 どのような形であれ、この世に生まれ出る命はとても尊いものだ。自然の中での一番の喜びの形はきっと命の誕生だ。それを権力者たちは自分たちの手で形を決めようとしている。いや、きっと支配しようとしている。研究者はこの世に生きる希望の研究をしていた。しかし命の誕生にまでは絶対に手を伸ばしたくなかったのだ。それは自然の摂理に反することだから。
 必然ではなく自然である、誰も変えることのできないもの。研究をする彼らにとって、この自然が持っている逆らえない法則に一歩たりとも足を踏み込ませてはならないのだ。それをすれば、きっとどこかで歪みが出る。
「でもきっと、その中に権力者たちは足を踏み込ませたんでしょうね」
 私は口元を震わせながら彼を見つめた。
「”evolution” あなたは進化の中の”incomplete”不完全なのでしょう? あなたは『ヒト』なんですか? それとも違う何か……?」
 私は隣に座る彼の顔を見つめた。この島国はいや、首都は私にとって謎だらけだ。
 首都に入れたと思って喜んで、生活にも慣れた昨夜にこの首都内のほとんどがAIと呼ばれる『モノ』で、それに囲まれて暮らしていた。
 一体この島国は何をしようとしているの?
「今から俺が『ヒト』であってそうではない説明をするところだった」



 
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