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Eternal
第4章 :jealousy-嫉妬-
 というよりも、何か馬鹿にされているみたいだ。
「咄嗟に思いついたのがキスだったんですよ」
「そうか? 本当はしたかったんじゃないのか?」 
 はっきりと意地悪く笑った彼に驚きながらも、私は顔を紅潮させながら怒気を含ませた声を放つ。
「したかったわけじゃないわっ! 本当ならしたくなかったわよ!」
 そして荒れた溜め息を吐き出した。
「もう、最悪…… 人生のファーストキスの相手がロボットだったなんて……」
 初めての記憶は何でも美しく在りたいと思うのに、この記憶は頭の中から削除したい。
「コンピュータみたいに削除機能があればいいのに……」
 唇を親指でなぞられるまま呟きながら彼の方に視線を向けてみると、なぜだか私たちはキスをする直前のような体勢になっていた。気のせいだろうか? いや、気のせいではない。彼の顔が私に迫ってきている。
「あの……」
 すると、彼の口元から驚くことに舌打ちが鳴るのが聞こえた。
「何?」
「今から何かしようと企んでます?」
「教えられたことをしようとしているだけだ」
「教えられたこと?」
 彼の顔が更に私との距離を縮める。
「『ヒト』の女が悩んでいたり悲しんで泣いていたりしたら、何も言わず抱き締めてキスをして慰めたらいいらしい」
 彼にこのようなことを教えた男は誰? 抱き締める前にキスをしようとしてるし!
「『ヒト』の女性が皆、それで慰められるわけじゃありません!」
 私の掌はこの日、二度も自然と宙を舞った。


 『ヒト』に似せた『モノ』が俺の目の前で喘いでいる。しかし、姿は似せることができてもロボットだと認識している上に、作られた喘ぎ声を聞いても理性が吹っ飛ぶことはない。聞けば、『ヒト』の女が出す喘ぎ声は、男を極上の世界へと導いてくれる魔法のようなものらしい。そのような魔法の喘ぎ声の妄想をしながらの俺は、かなり激しい突きをしてしまったらしい。
 このセックス専用ロボットは男の射精を促すために、行為の途中から自動的に膣内の収縮を始めるため、激しい動きはあまり必要ではない。それにそれやキスをしてしまうとロボットがイカれてしまう。ロボットは精密であるから、唾液などを取り込むとすぐに故障が生じて誤作動を起こす。しかし、俺はやってしまった。



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