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Eternal
第4章 :jealousy-嫉妬-
「アア・キモチイイ・イク・イク・シャセイジュンビカクニン・シャセイマデノコリ・ゴビョウ・キケンブツカクニン・シャセイブツカクホ・レイトウ・カイ・・・」
 ベッドの上、俺の目の前で火花が散る。歪な音を立てて機能停止させたロボットを横目にベッドから下りる。
 セックスの時の男は理性よりも本能が勝り、痺れを伴う快感と自分の下に組敷く相手を服従させようとする野獣と化すらしいが、相手はロボットだ。そのような気はさらさら起きない。
 セックス専用ロボットなら、もう少し『ヒト』に近い状態まで作って欲しいものだが、ただ『E地区』の男の精子を絞るためだけの『モノ』だから、細々としたところまでの細工はしていない。それに、彼女にはキスをすると故障すると伝えたが、俺の場合はそうではなかった。
 無菌状態の俺の分泌液はロボットに悪影響を与えない。だからキスをしても何ら問題ではなかったが、俺はそれをする気には全くならなかった。
 男だから性欲に関する様々なものには興味がある。決められた『ヒト』の女以外と身体を重ねることができない『E地区』の男の性欲を満たすものはセックス専用ロボット以外に過去からこの分野に関してはかなり充実していたらしい「アダルトビデオ」というものだった。現在のそれはロボット同士がヤッていいる為、観ても身体が疼くこともなければ、自分で抜くところまでイクことはなかった。しかし少し高値にはなるが、過去のそれが幾つか収められたチップが『E地区』の中で出回った。それを購入した友人がそれをコピーしてくれてくれたのだ。
 それを観た瞬間、俺の全身からは鳥肌が立った。過去の『ヒト』同士のセックスは現在のそれとは全く比べものにならなかった。
 抑揚と緩急の中の艶声はいくら研究をしてロボットの中にそのデータを取り込んだとしても、やはり自然物には敵わない。この時、俺は初めてイクということを覚えた。その後からどうしてもイキたい時にはその動画を見ていたし、あの時の興奮を全身に馴染ませてしまった俺にとって、目の前のセックス専用ロボットは全く役に立たない代物だった。
 それともう一つ、俺がこのロボットをどうしても壊したい理由がある。それはこのセックス専用ロボットは『E地区』の男の性欲を発散させる役割と同時に、俺たちが放つ精子を受け入れ、体内に冷凍保存する機能を持ち合わせていた。

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