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Eternal
第4章 :jealousy-嫉妬-
「ああ…… 僕はこのミスコンの主催者なんだ。このミスコンは在学生だけじゃなくて、この大学の卒業生たちも出場できることになっているから規模もかなり大きいし、個性的でなかなか面白いよ。それに在学生と卒業生の間で親交を深めることもできるからね」
「へえ、楽しそう」
「でしょ? だから自分の容姿に自信がないとか、優勝なんか絶対にできないからとか、そんなに難しく考えなくていいんだよ。このコンテストの趣旨は都民の交流目的だからね」
 男性の視線が再び私に戻る。が、私はなぜか気が進まずに再度断りの返事をした。
「そうか、残念だよ」
 友人は楽しそうだからと出場する決意を伝えると、男性はにこやかな笑みを浮かべて喜んでいた。しかし何だろう? この男性の笑みの奥には何かしらどす黒いものを感じたのは私の気のせいだろうか?
「じゃあ、これがコンテストの書類。ここに住所、電話番号に名前。ああ、それと君にナンバーがつけられているはずだから、それは必ず記入して。そしてここには大学の名称と学部と……」
 契約場所みたいになっているここが今、私にとってはとても息苦しい。
「じゃあ私、次の講義に行って来るわね」
 次の講義を友人は取っていない。私は椅子から立ち上がると男性に軽くお辞儀をした。
「今回は残念だけれど、また来年もあることだし、その時に出たいと思ったら出場してね」
 男性は別れ際に柔らかな物腰で私にそう言ってくる。
 でもやっぱり――
 清潔感のある男性。にこやかな笑みに柔らかな物腰。言葉遣いもとても品があって、服装もセンスがある。しかし、やはり私にはこの男性には何かあるとしか思えない。
「あの、あなたはどの地区に暮らしていらっしゃるんですか?」
 私が少し離れた場所まで移動した時に、友人の言葉が内耳に流れ込んできた。離れたところまで移動したといってもそんなに距離は歩いていない。
「僕? 僕は『A地区』だよ」
 男性の返事を聞いた私は咄嗟に歩みを止めて振り返ると、友人と男性はまだ会話を楽しんでいるのだが、男性の視線は私の方へと向けられている。しかし会話に夢中になっている友人はそれに気づいていない。
 あの男性は嘘を吐いている。それが私には分かって、男性も自分が嘘を吐いているのを私が知っているのを理解している。まるで私に嘘を吐いていることをわざと聞かせているような気がしてならない。
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