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Eternal
第4章 :jealousy-嫉妬-
 冬のせいだ、きっと冬の寒さのせい――
 私は全身を身震いさせながら、その場所から足早に立ち去る。
 男性の視線をずっと感じたまま――


「一人『ヒト』の女確保。ところで企業に勤めている『ヒト』の女の方はどうだ?」
 先ほどまでにこやかな笑みを浮かべていた男性の顔の中にそれはない。少し歪みを持たせた唇が吊り上がりを見せ、腹黒さを感じさせる笑みに変化していた。
「そうか…… では合計で『ヒト』の女は十人。毎年減少しているな。またあれを首都にばらまかないといけない。そうでないと俺たちの仕事がなくなる」
 男がとある路地裏で小さな声音で誰かと電話で会話をする。
 人差し指を片耳に当てて――
「あの…… 今度は何か?」
 私が大学からマンションに帰ると、あの彼がその場所の前で立っていた。どうやら煙草を吸っていたらしい。私の姿を確認するや否や、すぐにそれを携帯灰皿へと突っ込んでいた。
「『H地区』は禁煙だったような気がするんですけれど?」
「『H地区』の女の前ではな」
「え、そうなんですか? 私はてっきりこの地区全体が禁煙だと思っていました」
「『H地区』の女の身体は子孫を残す役割を担うから、副流煙は絶対に吸わせてはならないんだ」
「じゃあ、地区全体じゃないんですか? 煙草を吸ったあなたの服にもその匂いはあるだろうし……」
 私がそう答えると、彼は自分の服を両手でパンパンと叩いた。いや、そうしてもあまり意味がないような気がするけれどと思いながら、再び私は尋ねた。
「今度は何のご用で?」
 昨日も会って、再び今日も。これで三日連続だ。しかし、大学構内で出会ったあの男性とのことがあったせいか、彼の顔を見て私はなぜかほっとしていた。
「外は寒いですし、話があるのなら部屋に入ります?」
「ああ……」
 本当ならこの行動はあまり喜ばしいものではないのかもしれない。しかし、彼は昨日私に、彼の相手が私であると言った。
 私は彼のもの――?
 納得はいかないけれど、彼なら部屋に招いても許される行為だと感じた私は、迷いもなく彼を部屋へ誘った。
 日当たりのいい部屋を借りたその場所は、朝からエアコンをつけてはいないが暖かい。まあ、ある程度室温が低くなると部屋のシステムが作動して自動的にエアコンをつけてくれるのだが、どうやらそこまでは至らないようだ。
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