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Eternal
第4章 :jealousy-嫉妬-
 私は電子ポットでお湯を沸かすと、二人分のコーヒーを作った。
 昨日と同じローテーブルの同じ位置にカップを置く。もちろん静かに丁寧に――
「あの、まだつけているんですか?」
 私は彼の真向かいに座った途端に聞いてしまった。
「え……?」
「それです、バンドエイド」
「ああ……」
 私が指差した個所は彼の指に巻き付いているバンドエイド。もう捩れているだけではない。既に変色を起こしているし、一部はペラペラと剥がれかかっている。それはそうだろう。それを彼の指二巻き付けてから既に三日が経過している。その間に彼もシャワーを浴びたり、色々と何かしたりしていたのだ。その時に指を使わないという状況はまずないはずだ。
「何か、外そうにも外せなくて……」
 彼の顔を私は凝視した。私と接触をしてまだ三日。それなのに彼の顔の表情は少しずつだが変化を起こしていた。
 少し赤らんだ頬、恥ずかしそうにマフラーを首から解く姿がとっても初々しい。今まで感情を持たなかった者がそれを持ち出すと、こうなるものなのかと、私にとっても大発見で、思わず笑ってしまった。
「なぜ、笑うんだ?」
 問いかけてくる時の言葉も昨日と少し雰囲気が違う。なぜだか自分が彼を成長させていると思うと嬉しさが込み上げる。
 これが子どもを育てる母親の気持ちかしら? なんて思いながら、私はずっと笑い通しで、その前で彼はどう対応したらいいのか分からないようだ。首から解いたマフラーを両手でずっと揉み解していた――。
 その後、彼からこれからの詳しい説明を聞いた私はどうやら納得をできたようだ。なぜなら、昨日の彼とは違って、ちゃんと私に了承を得るような雰囲気をこの場に作り上げていたから。だから私が素直に頷いた後、彼の表情にはまた新しい変化があった。説明をしている時には少し不安げで、私が頷いた後には安堵したそれがまた、私の胸を強く締め付けさせた。
「それで、一緒に暮らすところはどこなんですか?」
 それを聞くと、彼は少しだけ難しい表情を見せてきた為、私は少し不安になった。
「まさか、危ないところとか? 大学からすごく遠いところとか?」
「いや、それはない」
 彼はそう答えた後にこう続けた。
「今、この首都ではある問題が起きている」
「問題?」
 私が再度尋ねると、彼は軽く頷いた。
「『ヒト』の女がいきなり姿を消す事件だ」
「……」


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