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Eternal
第2章 :Discomfort-違和感-
 私には親がいない。でも、それについて何の違和感はない。何故ならば、この島国の子供たちのほとんどに両親が揃っていることがないからだ。
 少子化により、数年前には既に出生率が0となったこの島国である現象が起こった。それは男性よりも女性の数の方がはるかに上回っていたことである。しかし、過去にそのような現象が幾度となく訪れたのだそうだ。その時には必ず少子化という言葉が背後に見え隠れをしていた。
 男性は一度につき数億個ともいわれる精子を作り上げる。しかし女性は違う。ひと月に一度だけ一つだけの卵子を大切に作り、それがその月内で用無しとなれば、生理という自然現象によって出血と共に体外へと排出されるのだ。つまり、女性の身体には将来の子どもを作り上げる卵を一つしか作ることができないが、男性は一度の性行為により何億個ともいわれる精子を女性の身体の中のたった一つの卵子に向けて流し込む。
 私が生まれる数年前の出生率が0となった時、この状況を確認した島国の権力者たちは、島国中の男たちから精子を提供するよう伝えた。もちろんただではない。提供をした男性には生涯の暮らしを約束し、今まで苦痛であったであろう増税をなくした。その代わり精子の提供は一度きりではなく何度も行われる。しかし男性にとってそれは苦痛ではない。何故ならば、性欲を満たしてくれる上に、子作り以外ならば役にも立たずに外に放って息絶えるだけの臭い精液を生涯の生活の保障と減税の対象としてくれるのだから。そして女性ももちろん、子作り以外では必要とされず、ひと月に一度月経と共に排出されて可燃物と共に捨てられる運命である卵子を提供することによって男性と同じような待遇を受けることとなる。
 この島国では男女が好き合い、結婚をして夫婦になるという姿もほとんど見られなくなった。その理由は簡単。結婚をして夫婦にならなくても子どもはどこかの場所で、この島国の研究者たちが開発したものによって命を与えられて生まれてくるのだから。自分たちはただ精子と卵子を提供するだけ。その後はこの島国が生まれ出た命を大切に育て上げる。セックスをしたいと思った時にはやればいいのだ。その時偶然に女性が妊娠をして子を産み、男性が認知しなくとも島国の国家機関が大切に面倒を見てくれる。ただ、体外受精によって生まれる子どもと体内受精による子どもの扱いには多少の違いがあった。

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