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Eternal
第2章 :Discomfort-違和感-
 両親がいる子どもは幸せであると、周りは何故か安堵したような表情を見せる。それが両親の出自もはっきりしていればなおさらだ。 
 反対に親のない子どもには、周りから欲っしてもいない同情が与えられる上に、何か悪さをしないかと、警戒の視線さえも強制的に受けるのだ。
 両親が存在していたって非行に走る子どもはいるし、両親が揃っていなくとも真面目な成長の道を歩む子どももいる。しかし、これは『ヒト』と呼ばれる者たちの中には必ずあるものなのだ。動物と違って感情、思考、そして奥底にある野生的な本能を抑制する理性を持ち備える最高級の生物は時に残酷さを垣間見せる。
 初めに両親はいないと伝えたが実際、私は両親の揃った家庭に生まれて育った。親二人とも首都の大学を卒業して、今はこの島国の各地に散らばる大手企業で務めている。首都の大学を卒業した者たちは皆、地方の大企業への就職が約束されるのだが、首都の大学に入ることができなかった者たちは農家や漁業を営む家やインフラ整備などの仕事を主とする土建屋等、様々な家業を営む家庭と養子縁組をする。その理由は至って簡単である。
 この島国は世界から孤立したのだから、食物を輸入することができず、島国内の食糧になる作物は全て、それらの家業に任されているのだ。
 鎖国をする以前は減少し続けていたそれらは今、この小さな島国の中で彼らの努力を必要とする国民との間での需要と供給のつり合いは上手く保たれていた。これらのつり合いが保たれた時点で、この島国には「貧民」「貧乏」などという、貧しいという意味合いを持つ言葉がなくなった。
 私には両親はいるが、共に暮らしたという記憶がまずない。かなりの頻度で顔を見にやって来るが、彼らの顔を見ても、幼かった私にはなぜか恐怖の感情がまず先にあった。
 いつも何かしらお土産をたくさん持って、私に両手を広げて抱きしめさせて欲しいと願ってきても、私には彼らが広げた腕の狭間に飛び込んで行く勇気がなかった。そのような私の姿を見た彼らの顔の中に悲しみの感情があるのを微かに見て取れた。それでも彼らは頻繁に私のいる場所へと足を運ばせて来た。
 そんなにも私に会いたいのなら、愛しいと思うのならば、なぜ共に暮らそうとはしないのだろうかと、親子なのになぜ……? そのような疑問を今、私の親代わりの大人に投げかけてみると、
「色々と事情があるのよ」


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