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Eternal
第4章 :jealousy-嫉妬-
 それらを購入するのは食事を提供する料理店だ。だから生もの専門の店も別に存在している。しかし私たちのような学生はもちろん、今や家庭でも母親が料理を作ることはないのだという。だから今の子ども達、いやある程度の年齢を重ねた大人でも見たことがないのかもしれない。
 肉の塊が草を食べている姿や魚がぴちぴちと跳ねているところなんて―― かという私もその一人だ。テレビや本などで肉になる前の牛や豚などの画像を見たことがあるが、これがどうしたらあんな美味しい料理に変身するのだろうと感心したものである。
 草木や花だって進化してしまった。過去は木々に若葉が茂り始め、桜の花が咲き始めると春、夏には若葉の新緑が深緑と変化する。そして秋には深緑から紅葉へと向かい、この小さな島国は鮮やかな色に染められたという。冬になる前に紅葉は枯れ果てた色へと変わってやがて落ち葉となる。葉を散らしてしまった木々はもの悲し気な姿となって冬の到来だ。それが今では冬でも桜の花を咲かそうと思えばできるし、若葉が見たいと思えばそれを茂らせることもできる。それも全てコンピュータのシステムでだ。
 この島国は大きなドームで覆われているから、季節の変更など自由自在。まあ、今のところはそのようなKYはいないようで、変更が行われたことはなく、ちゃんと春夏秋冬がやってきている。
 温めた朝食を食べる為にソファに腰を下ろす。そこはいつも彼が座っていた場所。
 彼がこの部屋から出ていってからかなりの時間が経っているのに、なぜかまだ温もりがあるような気がして、私は朝食もそこそこにその場所へ寝転がり丸くなると、静かに目を閉じた。


「見てよ、ほら! またこの新聞が出たのよ!」
 昼に大学に行くと友人があの新聞を手にして駆け寄って来た。『FUTURE REHABILITATION』という名のそれの内容を目にした私には聞き覚えのあるものだった。
 首都『H地区』の女性の大量残虐死、未だに犯人像が浮かばずに警察は手をこまねいている。政府も見て見ぬ振りか? この首都ではこれが公開事件として扱われていない。このままでは『ヒト』はこの島国から姿を消す。
 昨日私は彼からこの事件の説明を聞いていたから驚きはしなかったが、目の前の友人の顔色はかなり悪い。恐怖と不安に満ちた、そのような色とでもいうべきか。




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