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Eternal
第4章 :jealousy-嫉妬-
 感情がまだ未熟な『E地区』の男は皆、このような考え方をするものが多い。
 俺だって彼女に会うまではそうだった。『ヒト』の女であれば誰でもいいと思っていたし、彼女と会うのも義務みたいなもので、自ら進んで会いたいなど考えてもいなかった。しかし今まで本当の『ヒト』と関わったことがなかったせいか、彼女と少しのやり取りをするうちに、なぜだか明日も会いたい、明後日も会いたい、毎日でも顔を見ていたいと思っていた。
 指に巻かれたバンドエイドを見つめる。もう剥がしてもいいくらいの捩れを見せていて、恐らく少し目を離した瞬間にどこかに剥がれ落ちてしまうような状態だ。
 最初にこれを巻かれた時は至極迷惑だったのに――
 男がピンクのハート柄のバンドエイドなんてと思ったすぐにそれを言葉に出し、彼女を慌てさせた記憶が蘇る。
「でも、お前もこの件に関しては興味があるだろ?」
「興味があるわけじゃない。犯人たちの目的が何なのかを知りたいだけだ」
「そりゃ、『ヒト』の女の犠牲をこれ以上増やすわけにはいかないもんな。早く解決しないと、この島国に『ヒト』の女は0になる」
「分かっているさ……」
 俺は近くの椅子に座ると、傍にあるテーブルの上の灰皿を自分の方へと引き寄せた。
 電子ライターで紙煙草に火を灯すと、部屋の中の監視システムが作動する。
「ヒモトカクニン・シキュウカンキカイシ」
 俺の口元から吐き出される主流煙が天井にある換気口へと吸い込まれていく。その流れを見つめていると、ゲームにも飽きたそいつが俺が独占しているテーブルの向こう側の椅子に腰を下ろしていた。そして手が俺の方に伸びてくる。その理由を理解している俺は、テーブルの上に無造作に置いてあった紙煙草の箱と電子ライターを向こう側へと滑らせた。
「お前またセックス専用ロボットを壊したんだってな」
「罰金だろ? もう払ったよ」
 面倒臭そうに答えると、そいつは喉を鳴らして笑った。
「そりゃ、自分の精子なんて研究したくはないよな」
「煩い…… 別にそういう理由で壊しているんじゃない」
「へえ、じゃあ何で?」
 警察機関で働く奴らは、普段の生活の中でも事情聴取が癖になっているのか、そういう仕事をしているから何にでも興味を持ちすぎるのか、幼いころからの知り合いでも時々付き合いが面倒臭いと感じることがあった。
「別に…… 理由はないさ」


 
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