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Eternal
第4章 :jealousy-嫉妬-
「これからそのようなこともできるようにする為に、私と一緒に暮らすんですよね? 何もかもがすぐにできるようになるわけじゃないんです。私だってこの歳になってやっと当たり前にできるようになったんですから……」
 自分だって生まれてすぐにできたわけじゃないことを彼に伝えると、彼は困ったように笑って私の両手を自分の頬から離した。
「俺は焦り過ぎているのかな?」
 その問いに私は静かに頷く。
「恐らく、そうだと思います。『ヒト』だって最初から完璧に何でもできるわけじゃないんです。失敗をしたり挫折したりしながら強くなっていって、最後には成功をして自信をつけていくんです」
「あんたもそんな道を歩んで来たのか?」
 彼の次の問いに私は苦笑を漏らした。
「失敗とか挫折じゃないんです、私の場合は…… 後悔…… です……」
 両親と最後に会った時のことを思いだす。別れた後の強い後悔が未だに私の心に影を落とす。あの時はただ後悔だけで涙は出なかった。しかし今は何だろう。
 泣きそうになっている――
 私は唇を歪ませながらもギュッときつく噛み締める。これで泣くのは二度目だと、一度目のことを思い出しながら。
 私はこの首都に来るまで泣いたことがない。両親であるという彼らに初めて会った時も恐怖は感じたが、泣いたまでの記憶は全くないから、恐らく涙は零さなかったのだろう。ただ、この彼の前だと恥ずかし気もなく涙が溢れ出てくる。それはきっと私が彼に心を許している証なのだろうが、彼にとってはどうだろう? 初対面から涙を零され、今もそれをしようとしている私に対してどのような思いでいるのだろうかと考えてしまう。
 面倒臭い女だとか、鬱陶しいなどと思われているのではないかと不安になったが、彼は初めて会った時と同じように、今回は涙が零れる前に親指の腹で目尻を撫でてくれた。
「まだつけたままなんですか?」
 もう剥がれているといった方が早い。彼の指にはまだあの時のバンドエイドが私の頬をざらつかせた。
「悪い。傷つけてしまうな……」
 そう言って引っ込めようとした手を私は掴み、それを剥がす。
「新しいのをつけてあげます」
 バンドエイドの剥がされた指を呆然と見つめた彼の表情は、まだ見たことがなかった。
 まるでお気に入りの玩具を取られた子どものような、そのような雰囲気を醸し出していた。
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