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第4章 :jealousy-嫉妬-

「あの、私の友人のことで聞きたいことがあるんですけど」
　バンドエイドを彼の指に巻きつけながら私は尋ねた。もちろん、バンドエイドは先ほど剥がしたものと同じ柄だ。私の言葉を聞いているのかいないのか、彼は指に巻かれたバンドエイドを見つめている。もう怪我など既に治っていて貼る必要もないのだが、今の今まで大切な宝物みたいにずっと指につけていてくれていたのが嬉しくて、つい調子に乗ってしまった。確か一枚目を貼った時、彼は少し嫌がっていたということを思い出した私は、
「えっと、普通のを貼りましょうか？」
　貼る前に一度確認をしておけば良かったと思いながら聞くと、彼はふっと柔らかな笑みを浮かべながら頭を振った。
「いいや、これでいい……」
　そして今度はポケットに入れて隠さずに、もう片方の手で指に巻かれたバンドエイドをまるで劣化から守るような形で隠していた。
「あの、私の話を聞いていました？」
　やはり聞いていなかったようだ。彼は私のその言葉に首を傾げた。
「何か、言っていたか？」
　まだ内容まで口に出さなくて良かったと思いながら、再度尋ねてみる。
「あの、私の友人のことで聞きたいことがあるんです」
「聞きたいこと？」
　バンドエイドの件が落ち着いたからだろうか。彼はようやく私の話に耳を傾けてくれた。


　彼女の話を最後まで聞いた俺は、恐らくその友人の相手というのはあいつのことだろうと結論付けた。
　彼女の友人はミスコンに出場すると言っている。あいつが言っていた接触者とは、彼女の言う、ミスコン主催者のことだろう。
「私もそのミスコンに参加してみないかって誘われたんですけど……」
　彼女の最後の言葉を聞いた瞬間、俺は彼女の片手首を強く掴んでいた。
「参加するのか？」
「あ、いえ……　ああいうイベントは苦手で断りました」
　彼女が参加しないと聞いて、俺は安堵の溜め息を吐き出した。しかし手首を強く掴んでいたのは咄嗟のことであり、どうやら無意識だったようだ。
「あ、あの、痛いのでちょっと力を弱めてくれませんか？」
　彼女に言われてそれに気づいた俺は、慌ててその手を彼女のそれから離した。
「悪い……」
　最近、自分の行動に制御が効かないことが多いと戸惑いを感じる。