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Eternal
第4章 :jealousy-嫉妬-
 クリスマスも終わってもうすぐ正月だ。これはこの島国の伝統的な祝いの行事。過去には玄関に門松が置かれ、玄関ドアの上にはしめ縄が。そして和室にあった床の間には鏡餅が置かれて、年に一度、親戚が集まってその行事を祝ったという。その中で子ども達の一番の楽しみは豪華なおせち料理とお年玉。歳を経る毎にお年玉の金額は上がるのだそうだ。しかし今はそういう行事もなくなってしまって、正月はいつも通りの日常と化している。ただその名残として島国中の企業などは休業。しかし飲食店やデパートなどの店はいつも通り営業をしている。
 あれから大学でも顔を合わせていない友人にはまだ相手が現れないらしい。他の知り合いの『ヒト』の女性は既に相手と出会っているらしく、街中でそれらしき男性と歩いている姿をよく見かけた。
「まあ、いつかは会いに来るでしょ。私も来月のミスコンの準備が忙しいから、それ以降にしてくれたら有難いわ」
 どうやらこの言葉には嘘はないらしい。ミスコン出場を誘われてすぐに、友人は確かに毎日を忙しく過ごしている。何せミスコンに出場する為にはかなりの準備が必要らしく、都庁に行って『ヒト』である証明書とか、正確なナンバーであることの証明書とか、何せ証明書が色々と必要。それをこの年末の間にしてしまわなければ、この月最後の日から三が日までは都庁も休みになってしまうのだ。
 ミスコンは来月の三が日が明けてすぐに行われるらしい。
「正月気分も抜けない時期に行うのね」
 私はそう言ってから気が付いた。彼と共に新しく暮らす場所へ引っ越す日がもうすぐなのだが、簡単に計算をしてみると三が日の時に当たるのだ。まあ、今のこの島国では正月という独特な行事は殆どなくなったが、やはり三が日は皆ゆっくりしたいのか、地方で暮らしていた時にはそのような雰囲気はあった。しかし私はまだ首都の正月を経験していない。来年が初めてなのだ。だから彼が三が日を無視して引っ越しをその間中に決めたということは、恐らく正月気分などほとんど味わうことがないのだろうと考えた。
「まあ、正月も一人で祝ったって楽しくないしね」
 そう呟きながらも、やはり店頭に遠慮がちに飾られている正月用のディスプレイを見ると祝いたくなるのは、この島国が持つ国民性なのか。

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