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Eternal
第4章 :jealousy-嫉妬-
「とにかく、まず彼女に伝えてからにしよう」
 結局は彼女を優先させた瞬間、俺の全身から疲れが生じて睡魔も表れた。
「くそっ、こんな時に……」
 軽く舌打ちを起こしながら呟いていると、正月のディスプレイがされている店のドアに添えつけられていたのだろう。ドアチャイムがチリンと音を立てた。その音の方に視線を向けると、
「あれ、今日は少し早いんですね。というよりも、ここで突っ立って何をしているんですか?」
 彼女が俺の目の前に歩み寄って来る。その腕の中には少しはみ出ていて見える正月の飾り。
 ああ、やっぱり彼女は正月という行事を大切にしているのだ――
 そう思いながらも、口から出たのはそれとは全く異なる内容のもの。
「頼む…… あんたのマンションで少し寝かせてくれ」


 彼は私のマンションに入ってすぐ、ソファに倒れこむように横になるとすぐ、静かな寝息を立てて眠ってしまった。部屋は最適な温度を保っているが、万一のことを考えて彼の身体に大学の講義の時に使用しているブランケットを掛けた。
「そういえば、何の仕事をしてるんだろう?」
 彼は毎日私に会いに来てくれるが、彼の私生活をほとんど知らない。一緒に暮らし出したら徐々に分かっていくのだろう。彼と出会ってから私が主に話をしていた。最初は会話を続かせるためだったが、それが少しずつ変化していた。彼は私に尋ねることが多く、私はその問いに答えることが主だった。
 寝不足になるくらいの仕事といえば何が当てはまるだろうと、私は彼が眠るソファの前で跪きながら両腕を胸の前で組んで考え込む。
「警察官? 弁護士? 消防士? 官僚? 普通のサラリーマン? んん、分からないな……」
 身体もがっしりとしているから警察官や消防士のような気もするし、頭もかなりいいみたいだから弁護士や官僚もありかもしれない。しかしどれも彼には似合ってないような気がした。そう思ったのは彼の手を見てからである。私はバンドエイドが巻き付いている指を見てそう思ったのだ。
 ごつごつとしていなくて細くて綺麗なラインだ。しかし両手は全体的に荒れていた。警察官や消防士なら手も節くれているはずだ。それとは反対に弁護士や官僚ならば手が荒れることはない。
 私は彼の身体に顔を寄せて鼻をひくつかせる。しかし彼の身体からは爽やかな香りしか漂ってこなかった。
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