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Eternal
第4章 :jealousy-嫉妬-

「最初のあの仕草は、あの状況から立ち直る為にしたもので、今のは……」
「今のは……?」
右横から迫りくる端正な顔。近い、近すぎると私は叩いた以上に頬が赤く染まっていくのを感じながら両目を強く閉じた。
「ひ、秘密です!」
半ば叫びに近い短い言葉に、彼はどう反応したのか? 両目を瞑っていて表情も読み取れない。それに何故か無言。数秒経ってからゆっくり両目を押し上げると、やはりまだ彼の顔は私の右横すぐ近くに在った。そしていきなり掌を額につけてくる。
「え…… 何ですか?」
彼の行動が理解不可能で尋ねてみると、彼は空いているもう片方の掌を自分の額に押し当てる。
「いや、顔がさっきよりももっと赤くなっていたから、熱があるのかと思って。俺はあまり熱を出したことがなかったんだが、知り合いが少し身体が弱くて、養育者によくこういうことをしてもらっていた。何をしているのかと聞くと、熱を測っていると言っていた」
この首都なら、熱があるようだと部屋で呟くと勝手に検温をしてくれる。サーモグラフィ画像を目の前で映し出してくれるのだ。それで熱があるのかないのかを確認できるようになっている。彼が誕生した頃には存在していたであろうその機能を使用せずに、彼の養育者は何ともアナログな検温の仕方をしたのか。それが理解できたのは、彼の次の言葉であった。
「俺たちの養育者は全員が『ヒト』だ。そうでないと『ヒト』として成長ができないからな」
少しの感情を彼が持っていることにもその『ヒト』の影響があるのだろう。
「熱はないんです。ただ、これは正直に言うと、あなたの顔が近すぎて恥ずかしかっただけなんです」
顔が赤いだけで熱があると一方的に思い込んだ彼を心配させてしまったことに申し訳なく思った私が正直に伝えると、彼はやはり理解できなかったようだ。
「顔が近くにあるだけで、なぜ恥ずかしいんだ?」
と突っ込んだ質問をしてきた為、私はこの話はもうここで終わりだと告げて、彼の身体をくるりと回し、背中を両手でぐいぐいと押してソファまで移動させた。この間に私の頬は赤みを少しだけなくし、ようやく彼の目の前で顔を上げることができた。
そう、私は言わなければならないことがある。こんなに勇気ある言葉を告げるのは初めてだ。
「あの……」
私は彼に声を掛ける。と、彼も真っ直ぐ私を見つめてきた。私は両拳を作って強く握る。
「今のは……?」
右横から迫りくる端正な顔。近い、近すぎると私は叩いた以上に頬が赤く染まっていくのを感じながら両目を強く閉じた。
「ひ、秘密です!」
半ば叫びに近い短い言葉に、彼はどう反応したのか? 両目を瞑っていて表情も読み取れない。それに何故か無言。数秒経ってからゆっくり両目を押し上げると、やはりまだ彼の顔は私の右横すぐ近くに在った。そしていきなり掌を額につけてくる。
「え…… 何ですか?」
彼の行動が理解不可能で尋ねてみると、彼は空いているもう片方の掌を自分の額に押し当てる。
「いや、顔がさっきよりももっと赤くなっていたから、熱があるのかと思って。俺はあまり熱を出したことがなかったんだが、知り合いが少し身体が弱くて、養育者によくこういうことをしてもらっていた。何をしているのかと聞くと、熱を測っていると言っていた」
この首都なら、熱があるようだと部屋で呟くと勝手に検温をしてくれる。サーモグラフィ画像を目の前で映し出してくれるのだ。それで熱があるのかないのかを確認できるようになっている。彼が誕生した頃には存在していたであろうその機能を使用せずに、彼の養育者は何ともアナログな検温の仕方をしたのか。それが理解できたのは、彼の次の言葉であった。
「俺たちの養育者は全員が『ヒト』だ。そうでないと『ヒト』として成長ができないからな」
少しの感情を彼が持っていることにもその『ヒト』の影響があるのだろう。
「熱はないんです。ただ、これは正直に言うと、あなたの顔が近すぎて恥ずかしかっただけなんです」
顔が赤いだけで熱があると一方的に思い込んだ彼を心配させてしまったことに申し訳なく思った私が正直に伝えると、彼はやはり理解できなかったようだ。
「顔が近くにあるだけで、なぜ恥ずかしいんだ?」
と突っ込んだ質問をしてきた為、私はこの話はもうここで終わりだと告げて、彼の身体をくるりと回し、背中を両手でぐいぐいと押してソファまで移動させた。この間に私の頬は赤みを少しだけなくし、ようやく彼の目の前で顔を上げることができた。
そう、私は言わなければならないことがある。こんなに勇気ある言葉を告げるのは初めてだ。
「あの……」
私は彼に声を掛ける。と、彼も真っ直ぐ私を見つめてきた。私は両拳を作って強く握る。

