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Eternal
第4章 :jealousy-嫉妬-

「あ、あの…… お正月のことなんですけれど」
「ああ、そのことなんだが……」
「へっ?」
もしかして私が今言わんとすることを彼は知ってしまっているのか? そう思いながら素っ頓狂な返事をすると、彼は親指を顎に当てて話し出した。
「あんたが正月という行事を大切にしているとは思ってもいなくて、引っ越しの日を一日に、それも正月で元旦という日に決めてしまった。だからもしもその日が都合が悪ければ別の日にしようかと考えたんだが、その日に決定したことはあんたに伝えてしまっていたし、既に準備をしていて、何の連絡もなしに取りやめたと伝えては困るだろうと思って聞こうと思ったんだが、どうやら睡魔には勝てなかったらしい。もしもこの日が嫌だと言うのなら後日に変更するが、どうだろう?」
彼の言葉に私はさっきまで意を決して伝えようとしていた言葉が口から出ない上に、一応は気遣ってくれたのだと思うとなぜだか嬉しくて、私の頬には再び熱が上がり始めていた。しかし別に正月は大したことはしないからいいのだ。
いや、違う、大したことをしようと計画をしている。私は両拳に更に力を込めて伝えた。
「あ、あの、私はあなたとお正月を一緒に過ごしたいなって言いたくて……」
「はっ?」
「引っ越しはその日でもいいんですけれど、お正月を一緒に過ごしたいので、年末からここでどうかなって思って、それを伝えようと……」
ああもう! 上手に伝えることができない。彼の顔を見たら分かる。驚いていて口をぽかんと開けて、こいつは何を言っているんだ? なんて呆れた表情をして――
確かに私が今言っていることは、『ヒト』の世界では「誘っている」というふうにしか聞こえないし見えない。彼は引っ越しまでは毎日ここに来ると言っていたし、それは一日のうちの数時間ではあるけれど、一緒にいることを意味するようなものだ。それなのに私はずっといましょうと彼に言い迫っている。
「えっと、ですね…… 一応お正月なので、私は今まで大切にしてきたわけではないんですけれど、一度誰かとお正月気分を味わってみたいと思ってですねぇ」
嘘を吐いてしまった。
誰でも良かったわけではない。彼とだから一緒にその日を過ごしたいと思ったのだ。それなのに”誰か”となんて言葉を、誰でもいいから一緒に過ごしたかったみたいな言い方――。
彼に嘘を吐いたことを私は悔やむ。
「ああ、そのことなんだが……」
「へっ?」
もしかして私が今言わんとすることを彼は知ってしまっているのか? そう思いながら素っ頓狂な返事をすると、彼は親指を顎に当てて話し出した。
「あんたが正月という行事を大切にしているとは思ってもいなくて、引っ越しの日を一日に、それも正月で元旦という日に決めてしまった。だからもしもその日が都合が悪ければ別の日にしようかと考えたんだが、その日に決定したことはあんたに伝えてしまっていたし、既に準備をしていて、何の連絡もなしに取りやめたと伝えては困るだろうと思って聞こうと思ったんだが、どうやら睡魔には勝てなかったらしい。もしもこの日が嫌だと言うのなら後日に変更するが、どうだろう?」
彼の言葉に私はさっきまで意を決して伝えようとしていた言葉が口から出ない上に、一応は気遣ってくれたのだと思うとなぜだか嬉しくて、私の頬には再び熱が上がり始めていた。しかし別に正月は大したことはしないからいいのだ。
いや、違う、大したことをしようと計画をしている。私は両拳に更に力を込めて伝えた。
「あ、あの、私はあなたとお正月を一緒に過ごしたいなって言いたくて……」
「はっ?」
「引っ越しはその日でもいいんですけれど、お正月を一緒に過ごしたいので、年末からここでどうかなって思って、それを伝えようと……」
ああもう! 上手に伝えることができない。彼の顔を見たら分かる。驚いていて口をぽかんと開けて、こいつは何を言っているんだ? なんて呆れた表情をして――
確かに私が今言っていることは、『ヒト』の世界では「誘っている」というふうにしか聞こえないし見えない。彼は引っ越しまでは毎日ここに来ると言っていたし、それは一日のうちの数時間ではあるけれど、一緒にいることを意味するようなものだ。それなのに私はずっといましょうと彼に言い迫っている。
「えっと、ですね…… 一応お正月なので、私は今まで大切にしてきたわけではないんですけれど、一度誰かとお正月気分を味わってみたいと思ってですねぇ」
嘘を吐いてしまった。
誰でも良かったわけではない。彼とだから一緒にその日を過ごしたいと思ったのだ。それなのに”誰か”となんて言葉を、誰でもいいから一緒に過ごしたかったみたいな言い方――。
彼に嘘を吐いたことを私は悔やむ。

