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Eternal
第4章 :jealousy-嫉妬-
 そしてこの夜、私たちはセキュリティシステムからの要請で出動してきた警察機関に詳しく説明をしなければならない羽目になってしまっていた――。


「いやぁ、胸を触られて叫び声をあげて、セキュリティが危険を察知してって…… くくっ、お前もこれから彼女と一緒に暮らすんなら、少しは女性のことを勉強しなきゃならないなぁ」
 彼女のマンションに駆けつけてきたのは、彼女と初めて会った夜に研究員たちを連れて来た男だった。
「大体、女の身体に触ること自体がセクハラだよ」
「セクハラ…… セクシャルハラスメントのことか」
「言葉は知っているのに、どの行為がそれになるのか理解していないから困るな」
 男はそう言って煙草を吸おうとコートのポケットの中を弄るが、ここが『H地区』であり『ヒト』の女の住むマンションだということに思い出したようで、残念そうな溜め息を吐き出しながら、コートのポケットから弄っていた手を出した。
「あ、あの…… すみませんでした。私が叫び声を出したが為に、こんな大騒動になってしまって……」
 俺の隣で未だに顔を赤く染めたままの彼女が申し訳なさそうな表情を浮かべながら頭を下げている。それに対して男はまあまあ…… というように、片手をクイッと動かして頭を上げるよう促した。
「そりゃ、あんたはまだ二十歳前で大人になり切っていない女だ。社会のど真ん中で揉まれて生きているわけじゃない。そんな中でいきなり胸を触られたら驚くさ」
 気にしない、気にしない--
 そう言ってから俺を彼女から離れた所まで引っ張っていく。
「な、何だ?」
 男の行動を理解できない俺が眉間に皺を寄せながら問うと、男はいきなり俺の耳元でこう囁いてきた。
「どうよ『ヒト』の女の胸は…… セックス専用ロボットとは全く違う感触だったろ?」
「はっ?」
 いきなり彼女の胸について質問された俺は、少し前の時間の記憶を手繰り寄せる。
 セックス専用ロボットとの違いは確かにあった。まず、弾力だ。セックス専用ロボットの胸は弾けるような硬さがあるが、彼女のはなんと言うか、若さが持つ弾力? 硬すぎず軟らかすぎず、手触りはなかなかのもの。ただ、女が必ず装着するブラジャーと衣服が邪魔をして、実際の感触は味わえなかったが。って俺は何を考えているんだ? あの時は何とも思わなかったのに、今頃になってなぜかとんでもないことを仕出かしたような。
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