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Eternal
第4章 :jealousy-嫉妬-
 男の理解できない怒りに俺も腹立てて怒鳴り返す。が、二度も強い衝撃を受けた俺の体勢は不安定で、男を押し返すこともできない。
「『ヒト』ってのはな、ちょっとしたことでいい関係が崩れたりして大事なもんを失ったりするもんなんだよ。いくらお前がまだ未完成な男でも、さっきの言葉は禁句だ。これから大事にしたい女なんだろ? 彼女はお前にとってそういう存在になるんだろ? なら、これからもっと言葉には気をつけろ」
 そして俺をその場から立たせるとくるりと身体を一回転させる。そして背後から耳元に囁いてきた。
「謝ってこい。『ヒト』といい関係を続けたい場合はそうするに限る」
「俺は……」
 悪くないと言いたかったが、これ以上反発してはまた蹴られるか、もしかするとそれにプラスされて殴られるかもしれないと考えた俺は口を噤んだ。
「ほら、行って来い」
 何でこんなにも世話を焼きたがるんだ、この男は―― 俺は心の中で愚痴りながら、彼女が消えた方向へと爪先を向けた。
 どうしてあの男が激しい怒りを俺に見せたのか、その理由は後になってから分かることになる――。


 大体私も彼を傷つけるようなことを言った。
 誰でもいいから、お正月を一緒に過ごせる相手がいたらいいなっていう感じで。でも彼は私の言葉の意味を深く取らなかった。いや、まだ彼にはそこまで深く読み取れるような力がないから分からないで当たり前なんだ。でももし、彼が私の言葉の意味を理解していたのなら、お互いに傷つけ合ったことには違いない。
「お互い様よ…… それに彼はまだ『ヒト』に触れ慣れていないのだもの。触れるという言葉にも意味はたくさんあるのだから」
 そう呟きながら寝室をぐるりと見渡す。そろそろというか、引っ越しまではあと二日しかない。荷物を纏めなければと思いながら、私はクローゼットから一つの大きなキャリーバッグを取り出した。
 首都のマンションや一戸建ての家は全て家具付きで、違う住まいへ移る場合もそれらを持ち出す必要はない。私が持ち出すのは自分の衣服や小物くらいのものだ。料理道具だってついているけれど、ほぼ使用しないから新品同様。恥ずかしながらまな板や鍋を使ったのは今日が初めて。私はタンスの引き出しを開けると、自分の衣服をキャリーバッグに詰めだした。片方に服を、もう片方には下着などを詰め込む予定。
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